直木賞の窪美澄さん、受賞会見で決意表明「デビューが遅咲きなので、残された時間でいかに良質の作品を書くか」

スポーツ報知
「夜に星を放つ」で直木賞を受賞した窪美澄さん(東京・内幸町の帝国ホテルで=カメラ・中村 健吾)

 「夜に星を放つ」(文藝春秋)で第167回直木賞に輝いた窪美澄(みすみ)さん(56)の受賞会見が20日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた。

 3度目の候補入りでの受賞となった窪さんは黒のロングパンツ姿で登壇。

 「うれしさより実感がなくて、(会見を待っている時に)汗が止まらず、飲んだ水のおいしいこと、おいしいこと。こんなおいしいお水を飲んだのは初めてかと。多分、今、うれしいんだと思います」とニッコリ。

 コロナについて書いた作品も2作品含まれる短編集について「自分もなんとなく息苦しくって、窓を開けたいって気分の時にこの作品を読んでもらえたらという気持ちで書きました」と話すと、コロナ禍の生活について、「子どもが独立して1人でいる時間が長くて、長くて…。息抜きがほしいなと強く思うようになりました」と明かした。

 「性と生は、私自身、子どもを小さい時に亡くしていることもあり、ずっとテーマです」と言い切った窪さん。「小説家として、スミで生きてきた人間なのに、直木賞でこんな席にいるなんて、冗談じゃないのかなと思ったりします」と笑顔を見せると、「デビューがすごく遅咲きで44歳で最初の作品が出たので、私は残された時間が少ないんですね。残された時間でいかに良質の作品を書くかと思っているので、直木賞受賞でさらに書いていきたいと思います」と続けた。

 さらに「私の人生は変わっていると思います。44歳でデビューなんて、昔の作家なら心中して死んでいる年ですから」と言って、会場を湧かせた。

 選考委員を代表してリモート会見に臨んだ林真理子さんは「窪さんが最初から高い得点を得ました。清らかで美しい短編集という評価でした。3回目の候補入りですが、改めて窪さんの文章力、構成力、作家としての資質に平伏しました」と絶賛した。(中村 健吾)

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