芥川賞受賞の高瀬隼子さん、受賞会見で「何とか、この世界で書き続けたい、生き残りたいと思ってます」

「夜に星を放つ」で直木賞を受賞した窪美澄さん(左)と「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞に輝いた高瀬隼子さん(東京・内幸町の帝国ホテルで=カメラ・中村 健吾)
「夜に星を放つ」で直木賞を受賞した窪美澄さん(左)と「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞に輝いた高瀬隼子さん(東京・内幸町の帝国ホテルで=カメラ・中村 健吾)

 「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)で第167回芥川賞に輝いた高瀬隼子(34)さんの受賞会見が20日、東京・内幸町の帝国ホテルで行われた。

 2度目の候補入りでの受賞となった高瀬さんは黒のロングスカートで登壇。「とてもうれしいですけど、ここに来るまで全然、実感が湧かなくて、編集者とタクシーに乗って来たんですけど、ウソかも知れないと言いながら来ました」と緊張気味に話した。

 受賞の連絡を最初に夫にしたことを明かし、「『受賞したよ』と言ったら『良かったね、良かったね』と涙ぐむような声で言ってくれました」と笑顔。

 その上で「今、(緊張で)食欲がゼロになっていて、発表を待つ間も気持ち悪くなっていて、明日、(食事が)食べれるかな?」と初々しく話した。

 職場を舞台にした作品での受賞に「(職場での人間関係の)むかつきから作品が始まっているけど、むかつきという愚痴だけで終わりたくなくて、むかつくよね~じゃなくて、そのむかつきにはこんな理由があるんだとか、読者の方それぞれに受け取っていただければと思います」とした。

 「何とか、この世界で書き続けたい、生き残りたいという気持ちがあるので、頑張れという受賞だと思うので、これからも書き続けたいと思います」と続けた。

 高瀬さんは19年デビュー。今回の食べ物を軸に職場の人間関係を描いた作品について、選考委員を代表してリモート会見に臨んだ川上弘美さんは「高瀬さんは最初の投票から過半数を取りました。職場、あるいはある人数の中での男女関係、人間関係を立体的に描き得ている作品。いかに書くかと言う技術が非常に優れていると評価されました。人間の中にある多面性が非常にうまく描かれていた」と評した。(中村 健吾)

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