ブラジルの美容院にて、苦肉の策で「ネイマールみたいにしてくれ」とオーダーした話

スポーツ報知
路上サッカーに興じる人々。私も毎日のように参加させてもらったが、ある日のプレー中にコンクリートで足を捻り、約2週間足を引きずるはめに

 【vol5.ブラジル編】 

 子どもは正直で、時に残酷である。

 来日中のパリSGが18日、秩父宮ラグビー場で小学生対象のサッカー教室を行った。コーチとして参加した選手はFWメッシ、FWネイマール、FWエムバペ、DFセルヒオラモス、DFマルキーニョスの5選手。世界トップクラスの選手たちであることは間違いないが、子どもたちの人気はFW3人に集中する、と思われた。

 FWはいつだって子どもたちのスターである。セルヒオラモスとマルキーニョスですら、この3人を前にすれば霞んでしまう、と思った。

 しかし、蓋を開けてみると「1強」だった。メッシでもネイマールでもなく、子どもたちの注目の的となったのはエムバペだった。時代の移り変わりを感じた。そうか、もうそういう時代になったのか。寂しさに似た感情も芽生えた。

 ところが、ここからネイマールが盛り返した。子どもたちと積極的にハイタッチを重ね、笑顔を振りまく。子どもたちにも、笑顔が伝播していく。エムバペも「ああ、そう接すればいいのか」といった表情を浮かべていた(ように見えなくもなかった)。

 仏頂面で笑顔の少ないメッシをよそに、みるみる子どもたちの人気を集めていったネイマール。さすがの一言だった。

 ブラジルW杯が行われた2014年、私はブラジル・サンパウロの美容院で、苦肉の策で「ネイマールの髪型にしてください」とお願いした。

 海外での散髪はこれまで10回ほど経験があるが、だいたいうまくいかない。

 英語が通じる美容院であれば、途中で修正も可能だし、「許容範囲」にはおさまる。一方、例えば「カット」だとか「2センチメートル」だとか、そういった簡単な英単語が通じない国ではとても困る。安さ重視で入ったサンパウロの美容院は、後者だった。

 私はポルトガル語を話すことができない。当時はアプリの翻訳機能も期待できなかった。たちの悪いことに、美容師さんは切ってからどうしようか考えるタイプだったようで、こちらの意志が1%も伝わっていないのに、ハサミを入れようとしてきた。

 そこで思いついたのが「ネイマール」だった。サッカー王国では「りんご」だとか「夏」ぐらいの知名度がある日用語。W杯期間中、ブラジルには約1か月間滞在したが、ネイマールの人気は本当に凄まじかった。私が「ネイマール!ネイマール!」と連呼すると、ハサミを構えた無愛想なおじさんは深くうなずいた。ネットで髪型を調べるまでもないらしい。いきなり切り始めた。

  出来上がりがこちらである。(写真)

 まあまあの出来だった。「許容範囲」の中でも、結構上の方の完成度。数日間は、街で「お、ネイマールじゃん!」といった反応も2度ほど受けた。私は押しも押されぬネイマール世代(同学年)なので、少し、誇らしかった。

 ちなみに、私が髪を切った数日後、ネイマールは散髪し、金髪にした。私とは似ても似つかぬスタイルになってしまった。そのまた数日後にネイマールは負傷で大会を去り、そのまた数日後にブラジルは1―7という屈辱スコアでドイツに敗れてW杯敗退となってしまったのだが、それはまた、別の話。(岡島 智哉)

 ◆岡島 智哉(おかじま・ともや) 2016年、報知新聞社入社。これまで40か国ほどの渡航歴あり。横浜FM、鹿島、名古屋を担当し、今季は川崎担当。泊まっていたサンパウロの宿泊施設に泥棒が入り、カギをかけたカバンの奥の奥の奥に入れていた非常時用の約10万円を盗まれる。防犯カメラを確認すると、なんと犯人は推定10歳ほどの少女だった…。

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