宙組・桜木みなと、清くなく正しくもなく…ただ美しい 研14の成熟と新鮮味 主演「カルト・ワイン」で新境地

スポーツ報知
火曜プレミアム「宝塚」

■自身初の東上作 宝塚歌劇宙組の3番手スター・桜木みなとが2年ぶりの主演作「カルト・ワイン」で痛快な演技を披露した。自身初となる東上作で、東京公演に続く大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演は公演関係者のコロナ感染で途中打ち切り(今月5~7日中止)の憂き目に遭ったが、成り上がる詐欺師役で入団14年目の成熟ぶりをアピールした。公演の模様をグラフとともに紹介する。(ペン&カメラ・筒井政也)

■型破りな犯罪劇 夢を売り、愛をたたえる宝塚歌劇では型破りな犯罪劇だ。ドキュメンタリー映画「すっぱいブドウ」(2016年、イギリス)で題材として扱われたワイン偽造犯ルディ・クルニアワンがモデルの主人公は、歌劇団が掲げる「清く」「正しく」には当てはまらない。 シエロ・アスール(桜木)は、中央アメリカ中部の国・ホンジュラスのマラス(ギャング)の一味。半そでシャツで腕の入れ墨をちらつかせている。従来の宝塚なら主役になり得ない、タブーな人物像が実に新鮮だ。

 明日の見えないチンピラ生活から逃げるべく、シエロは友人・フリオ(瑠風輝)らと決死の覚悟でアメリカに渡る。そこで運よくレストランのアルバイトの職を得て、ワインの知識を吸収し、高級ワインの偽造に成功。偽造の発端はフリオの妹の手術のためだったが、味をしめて「カミロ・ブランコ」の偽名で成り上がる。

 シエロは、投資対象にもなるワインの取引に踊らされる資産家たちの浮かれっぷりを鼻で笑い、罪に問われて法廷に立っても「偽造の何が悪い!」と一切、悪びれることもない。宝塚ならば普通、改心→人間的成長へと物語が進みそうだが、“ワル上等”で潔く、会心の一作となった。

■栗田優香氏の会心作 「オーシャンズ11」(2019年)のベネディクトや「NEVER SAY GOODBYE」(22年)のアギラールなど、タフな悪役で腕を磨いた桜木が、ふてくされた表情からはじける笑顔まで、生き生きと七変化。カミロとしてのスーツ姿は、宝塚の教訓「美しく」を体現した。トップスター5人中3人を輩出した第95期の宙組代表。入団14年目で、ワインなら「成熟」の頃だが、未知なるフレッシュな味も感じさせた。

 作・演出の栗田優香氏は、昨年のデビュー作「夢千鳥」(宙組)に続く“2打席連続ホームラン”。映画監督経験の持ち主で、なるほど、両作とも映画的な展開が印象的だ。奇才・上田久美子氏が今春、劇団を去ったばかりだが、その後継として“タカラヅカらしくない”意欲作を今後も期待したい。

 フリオ役の11年目・瑠風は経験豊富だが、受け身の役どころでも存在感を示した。また、チャポ役の12年目・留依蒔世(るい・まきせ)は凄みのある裏ボス役で新境地を見せた。歌うま宙組代表の実力者。11月での退団発表が残念だが、自身の代表作にもなったようだ。

 シエロにワインの深さを教える女性ソムリエ・アマンダ役は7年目・春乃さくら。落ち着いた芝居で「NEVER SAY―」の新人公演初ヒロインに続くチャンスに応えた。

 ★桜木 みなと(さくらぎ・みなと)12月27日生まれ。神奈川・横浜市出身。2009年4月「Amour それは…」で初舞台。第95期生。宙組配属。新人公演主演2度、宝塚バウホール主演2度。芸名は地元・横浜の「桜木町」と「みなとみらい線」が由来。宝塚大劇場公演「HiGH&LOW ―THE PREQUEL―」「Capricciosa(カプリチョーザ)!! ―心のままに―」が8月27日に開幕する。身長170センチ。愛称「ずん」。

★お知らせ この記事が掲載されたスポーツ報知大阪本社発行版「火曜プレミアム宝塚」は7月19日に刊行されました。バックナンバー取り寄せご希望の方はこちらをご覧ください。

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