【番記者の視点】神戸・吉田監督と三浦元監督に感じる共通点「タレント軍団を率いる指揮官」への最適解を考える

スポーツ報知
神戸・吉田孝行監督

◆明治安田生命J1リーグ 第22節 神戸 1―1 鹿島(16日・カシマスタジアム)

 神戸はFW大迫勇也のリーグ戦3試合連続ゴールで先制したが、終盤に鹿島に追いつかれ1―1のドロー。吉田孝行監督が就任して以降続いていた公式戦の連勝は4でストップしたが、15位に浮上し降格圏から脱出した。

 “お得意様”の鳥栖、ともに降格圏に沈む清水、磐田相手に3連勝した神戸。新体制の力を正確に測る物差しになると思っていた2位鹿島との一戦で、チームは終盤までリードを保っていた。内容に関しては、鹿島の激しい守備の前に苦しめられた印象が強いが、波に乗っている大迫の活躍で局面を打開した。今季2度目の指揮官交代から生まれた勢いは、今もリーグ戦の順位を押し上げる動力となっている。

 吉田体制での公式戦5試合を見て、2020年9月から今年3月まで指揮を執った三浦淳寛元監督時代の雰囲気と似ているなと何度も感じた。高い位置から積極的にボールを奪いにいく守備を掲げるなど戦い方にも共通点はあるが、何よりも選手の個の力を発揮させようと努める姿勢が近い。

 中心選手の1人である元日本代表MF山口蛍は以前、新監督について「攻撃に関して今までより制限は少なくなり、ある程度、皆に自由が与えられていると思う。選手の意見を孝行さんは受け入れてくれている」と話していた。攻守、特に守備に緻密だったロティーナ前監督との明らかな違いは、チームを一変させた。これは前監督が間違っていて吉田監督が正しい、というものではない。実績、経験が豊富な選手が多い今の神戸にはこのアプローチがはまった、という感覚だ。

 監督就任前に強化部門トップのスポーツダイレクターを務めていた三浦元監督も、そうした空気を感じ取っていたのかもしれない。昨季は日本代表FW古橋亨梧(現セルティック)の爆発に整備された守備がかみ合い、クラブの歴代最高順位を更新する3位と大躍進した。これまで神戸は監督交代を繰り返してきた歴史があり、名の知られた外国籍監督が率いたことも多かったが、必ずしも名将の存在が好成績に結びついたわけではない。そうした背景を考えると「タレント軍団を率いる指揮官」への最適解も浮かんでくるように思える。

 吉田監督への評価を下すのはまだ早いが、選手たちの表情やコメントを見聞きすると期待感は抱かせる。鹿島戦で右足首を負傷したFW武藤嘉紀のアクシデントを乗り越えられれば、さらなる快進撃が起きても不思議ではない。(種村 亮)

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