紺野美沙子横審委員、大相撲の魅力語った「横綱はヒーロー、推挙したい。一度もなかったら寂しいです」

スポーツ報知
大相撲の魅力を語った紺野美沙子さんは、笑顔で張り手のポーズを披露(カメラ・清水 武)

 大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)は10日に初日を迎える。横綱審議委員会委員で女優・紺野美沙子(61)は、相撲好きの「スー女(じょ)」の“元祖”としても知られる。昭和の大横綱・大鵬が活躍していた半世紀以上前から見守ってきた相撲との思い出や、観戦で楽しむポイントなどを聞いた。(取材・構成=三須 慶太、今関 達巳)

 ―相撲が好きになったきっかけは。

 「同居していた祖母が大ファンで、小学生の頃から一緒に中継を見ていたことがきっかけです。大鵬関の連勝が(1969年春場所2日目に45で)止まったことはよく覚えています。(場面自体は)見ていなかったと思いますが、祖母から言われて『誰に!?』と驚いた場面は鮮明に覚えています」

 ―子どもの頃の英雄は。

 「柏鵬時代の後に、北玉時代があって。今、解説者で大人気の北の富士さんと、横綱在位中に亡くなった玉の海関ですね。小学校5年の時に、お昼休みに学校のテレビを見ていたら、玉の海関が亡くなられたニュースが入った。泣き崩れるくらいで…。私にとって横綱はヒーロー。突然亡くなったショックがいまだに忘れられないです」

 ―相撲の魅力は。

 「古くからの伝統を守っている部分でしょうか。江戸情緒というか。所作の一つ一つに意味があったり。つり屋根などそれぞれに歴史があるのが面白いです」

 ―歴代で好きな力士は。

 「大ファンになったのは高見山関が最初です。どちらかというとビジュアル重視というか(丸い体形の)あんこ型の力士が好きなんですよ。豪快な突き押し相撲で勝って、金星などを挙げたときにインタビュールームにいらして、笑うと笑顔がかわいいとか。黒姫山関もいいなと思いましたし、その後は琴風関も好きで、曙関も。最近では朝乃山さんが好きですね」

 ―名古屋場所では、その朝乃山が復帰する。

 「『待っていました』という感じ。朝乃山さんが十両に上がった頃から『いいお相撲さんが出てきたな』と思って。顔も、姿もいいし、正統派の四つ相撲のお相撲さんだな、と。(しこ名の下に以前は)恩師(富山商時代の故・浦山英樹さんの英樹)の名前をつけたりとか、義理堅いところが、おばさん心をくすぐります」

 ―今後、相撲に興味を持つ人へ楽しむポイントを。

 「この人かわいいとか、出身が同じとかで、一人の方を応援する。国技館や地方場所にも足を運んでみる。より好きになって、また興味が湧いてくると思います。巡業だと力士の方と身近で触れ合える。一度、握手すると好きになることって、あると思うんです」

 ―実際に会場で観戦するからこそ感じるもの。

 「(土俵下の)たまり席で見せていただいたことがあって、びっくりしましたね。いろんな音が聞こえてきますし、力士の方の息遣いとか、あとはぶつかり合う音の迫力とか、時間が近づくにつれて高揚してくる肌の色とか…。やっぱり近くはいいなって。そうそう機会はないですけど、幸せでしたね」

 ―横審委員としての夢は、やはり横綱推挙か。

 「一度もなかったら寂しいです(笑い)。推挙したいですし、明治神宮(奉納土俵入り)もぜひ行きたい」

 ―今後に期待すること。

 「いい相撲を見たい。それだけです。あとは力士がけがをするのが悲しい。もちろん今もやっているとは思いますが、サポート態勢をもっと整えて、なるべくけがをしないように、けがをしても早く復活できるようになればいいですね」

 ◆柏鵬(はくほう)時代

 1961年秋場所後、同時に横綱へ昇進した柏戸と大鵬がライバル関係を築き、呼ばれるように。60年初場所、新入幕で破竹の無傷11連勝を飾っていた大鵬を止めたのが、当時小結の柏戸で、両者ともに将来性を既に期待されていた。横綱昇進後は毎場所のように千秋楽で対決。熱戦にファンは酔いしれ、高度経済成長期の相撲人気を支えた。柏戸が69年名古屋場所で引退し、時代は終わりを迎えた。柏戸の5回に対し、大鵬の32回と優勝回数は開いているが、対戦成績は大鵬の21勝、柏戸の16勝(決定戦は除く)だった。

 ◆取材後記…1面増えて欲しい

 常にうれしそうな表情で、気さくに質問に応じてくれた。本当に相撲が好き、という感情がにじみ出ていた。報知の社屋が両国に移転した話題を向けると「大相撲のニュースがなるべく1面に来る回数が増えるとうれしいです」とほほ笑んでいた表情も印象に残る。ただ、単なる「好き」だけでなく、力士に対する「尊敬」や「愛情」も感じ取れた。

 そう思った一幕が、横綱を推挙する役割を担う横審委員の一人として、苦しむ大関陣への思いを聞いたときだった。千秋楽最後の三番の「これより三役」に言及し「重みがちょっと薄れてきたかなという印象があります。お客さんがワーッと、盛り上がるのが理想ですよね」と感想。楽日の最終盤の取組の多くが優勝争いに絡まない、という状況に嘆き気味だった。

 一方で「ご本人が一番苦しいとは思いますが」と気遣いの言葉を忘れなかった。「これからの力士がけがで下位に落ちたり、調子が上がらないと…」との心配も。的確に現状を指摘する中にも、包み込むような優しさを感じた。(三須 慶太)

 ◆紺野 美沙子(こんの・みさこ)1960年9月8日、東京都生まれ。61歳。80年、慶大在学中にNHK連続テレビ小説「虹を織る」のヒロイン役で人気を博す。時代劇から現代劇まで、硬軟さまざまな役をこなしてきた。国連開発計画親善大使として、カンボジアなど途上国を回ってきた。2010年秋から朗読座を主宰。19~21年、日本相撲協会に設置された「大相撲の継承発展を考える有識者会議」の委員。今年から横綱審議委員会委員。

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