【番記者の視点】首位をキープした横浜FM シーズンダブルを許さない戦術理解度と約束事の徹底ぶり

6日の広島戦の後半13分、ゴールを決め歓喜する横浜FMのFW西村拓真(カメラ・宮崎 亮太)
6日の広島戦の後半13分、ゴールを決め歓喜する横浜FMのFW西村拓真(カメラ・宮崎 亮太)

◆明治安田生命J1リーグ▽第20節 横浜FM3―0広島(6日、日産ス)

 横浜FMはホームで広島に3―0と勝利した。一部観客席で声出し応援が認められる運営検証対象試合となった一戦。日産スタジアムに約2年半ぶりとなる力強い声援が響く中、6連勝を飾って首位をキープした。

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 首位を走る今季の横浜FMの強みは、改善を施し対策できる点にもある。広島には3か月前に敵地で0―2と内容も完敗。「同じ相手には2度負けない」と言い切ったGK高丘陽平は、「(対広島は)前に運ぶショートパスより、ミドルパスが効果的になる」とつなぐスタイルがある中での今試合の狙いの一端を明かした。ビルドアップの出どころを封じられた反省を踏まえながらショートカウンターのリスクを最小限にし、広島の3バックの隙を突いた。

 さらにマスカット監督は、前回対戦で先発したDF小池裕太、DFエドゥアルドを再び起用。DF永戸勝也や角田涼太朗のコンディション調整という背景もあったとされるが、決して良いイメージを持ちきれていない状況で踏み切った采配かのように思えた。しかし、反骨心も持ち合わせたサイドバックの小池裕は内外を使い分けた動きで、加入後初ゴールとなる先制点も。エドゥアルドはシンプルなプレーを交えつつ、対人やセットプレーでの空中戦の強さも見せた。

 スタイルやコンセプトが確立され、約束事の徹底ぶりが結果に表れている。一方で、相手の対策も当然ながら強まる。その中で敗戦から得た反省を生かし、上回る力を見せてきた。今季横浜FMが前半戦で黒星を喫したのは柏戦(1●3)、広島戦、福岡戦(0●1)だ。内2試合の後半戦を制し、リベンジマッチをモノにした。3季ぶりの優勝を目指す上で、シーズンダブルは決して許さない。

 マスカット監督は6月25日の柏戦(4〇0)後、「スタッフや分析班も素晴らしい働きをした。スタッフで分析結果を共有し、どう選手に共有するかも考えてきた」と言及。スタッフの落とし込み方、そして選手の高い戦術理解度を誇った。選手からもまた、「スカウティングのおかげ」といった声が自然と上がっていた。

 中盤で即時奪回を徹底し、先制点の起点となったMF岩田智輝は「全体のイメージが合わせられていて、練習から一つ一つの細かい動きもお互いの共通認識を高められている。試合でしっかり発揮できている」とうなずく。高丘も「短い時間で伝えられることに情報が詰まっている。スカウティングとイメージをうまく共有できている」とミーティングの様子について話した。

 試合前から選手の意気込みが並々ならぬものであったことは間違いない。MF西村拓真が記録した今季リーグ1位となる14キロ超をはじめ、チーム合計走行距離は今節リーグトップ。夏場にも関係なく、2位以下を10キロほど突き放す圧倒ぶりだ。高丘も「全員がハードワークした結果」と横浜FMにおいて”大前提”とも言える強みを最大限発揮。指揮官が常に重要性を説く「強いメンタル」で戦い抜き、スタイルに上積みされた相手への対策も勝ち点3につながった。

 3―0のスコア通り内容で圧倒したわけではない。それでも「相手より確実なチャンスをつくった」(マスカット監督)ことで3得点を奪い、粘り強くゴールを守った。タフに、そしてしたたかに通算501勝目を刻んだ。

 今季7ゴールを挙げながら、6試合の出場停止処分を受けていたFWアンデルソンロペスも次節(10日・C大阪戦)から復帰。チームは直近3戦12ゴールと、その不在を感じさせない総合力を発揮してきた。2位・鹿島との勝ち点差は「5」。しかし、この日の選手の言葉からも、満足する気配は感じられなかった。まだまだ底知れぬ力を見せてくれそうだ。(小口 瑞乃)

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