元ちとせ「ワダツミの木」のおかげで20年「どんどん特別な曲に」 音楽活動は「無理なくいいペース」

スポーツ報知
13、14年前から故郷の奄美大島に活動拠点を戻した元ちとせ(カメラ・今西 淳)

 デビュー20周年を迎えた歌手の元ちとせ(43)が、6日に14年ぶりのオリジナルアルバム「虹の麓」をリリースする。坂本慎太郎、折坂悠太ら個性派のアーティスト陣から楽曲提供をうけ、全11曲を収録。妥協なく取り組んだ今作への思い、「月日がたつごとに特別な曲になる」というメジャーデビュー曲「ワダツミの木」(02年)などについて語った。(加茂 伸太郎)

 「この曲のおかげで20年、歩くことができました。この先も月日がたつごとに、どんどんと特別な曲になっていくと思います」

 元のメジャーデビュー曲「ワダツミの木」。故郷・奄美大島の島唄をベースにした独特の節回しが、大きな反響を呼んだ。オリコンのシングルチャート初登場19位だったが、ジワジワと人気に火が付き、2か月後の10週目に初の1位を記録。その年のシングル年間売上3位に輝き、自身最大のヒット曲になった(83・9万枚、オリコン調べ)。

 作詞・作曲はレピッシュのキーボード奏者・上田現さん(享年47)。デビュー前から二人三脚で歩んだ恩師であり、絶対的な信頼を置くプロデューサーだったが、08年に別れを迎えた。

 「作品を作ってくれた現ちゃんを(病気で)失ったのは大きな出来事でした。ただ、現ちゃんは頑張り抜いてこの世を去った。その姿を見てきたので、気持ちを無駄にしたくない。私の歌う『ワダツミの木』が一番だと言われるように、歌い続けていきたいです」

 音楽活動の転機は05年8月、TBS系「筑紫哲也 NEWS23」に出演し、広島の原爆ドーム前で坂本龍一(70)と共に「死んだ女の子」を披露したこと。原爆で亡くなった少女の立場から書かれた詩に、メロディーを付けた楽曲だ。

 歌唱にあたり、原爆資料館を訪問。現実に起こったことと理解できないほど衝撃を受け、無知だった自分を恥じた。「歌に対する考え方が変わった気がします。歌いたいから歌う、楽しいからライブをするじゃなく、語り継ぐこと、小さな幸せを与えられることが大切だと感じるようになりました」

 11曲収録の今作は「カッシーニ」(08年)以来14年ぶりのオリジナルアルバム。「終わった~!と思っても、(100%納得できなければ)もう1回チャレンジしよう!」一切妥協せず、何度もレコーディングにトライした。

 元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎や折坂悠太、長澤知之、LITTLE CREATURESの青柳拓次、さかいゆうら豪華アーティスト・クリエイター陣との作業は新鮮で刺激的だった。

 「皆さん、表現者の方々。ご本人の声の仮歌を聴いて作っていくんですが、どれも『いいな』と思う。男性特有の淡々とした部分を、私がやることでどう表現していくか。それを探す作業が大変でしたね」テーマは日常があることのありがたさ。「静かに朝日が上がって光がさし、眠りに付くまでの幸せを一枚に収めました。平和な世の中からはかけ離れてしまった…。歌を通して願うこと、祈ることで苦しむ人たちの希望になれたら」

 昨年7月、生まれ育った奄美大島が世界自然遺産に登録されることが決まった。元は「自分たちが(自然を)守る側になって恩返し中です。子供たちに島の良さを伝えていきたい。伝統を守れではなく、島に生まれたことを誇りに思ってほしいです」。最近、島唄を習う子たちが増えたという。「もっと歌えるようになりたいって。うれしいですね。(私の影響か?)それは大いにあるんじゃないですかね!(笑い)」

 20周年について「早かったわけでもなく、の~んびりと歩いた感じでもなく。無理なくいいペースで音楽と向き合ってこられた」と振り返った。25周年、30周年もスタイルは変わらない。マイペースに進んでいく。

 元は13、14年前から故郷の奄美大島に活動拠点を移した。私生活では1男1女の母親。現在は仕事がある度に上京する生活を送る。「周りに助けられていますね。(行事など)見に行ってあげたくてもライブが重なると難しかった。子供たちが小さい頃は、私の仕事がキャビンアテンダントと思わせていましたから。ある日、学校に歌いに行って気付かれたけど(笑い)。(高校生になる)娘とは言い合いもしますし、対等です」

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