大相撲の東前頭3枚目・玉鷲(37)=片男波=が5日、東京・墨田区の部屋で稽古し、異例の“2人掛かり”など、独特な調整方法を披露した。関取最年長となったベテランは、名古屋場所(10日初日・ドルフィンズアリーナ)で昭和以降初となる同一横綱から4場所連続の金星獲得を狙う。
関取最年長・玉鷲が型破りな稽古で記録の壁も破る。この日の申し合いでは若い衆が正面に1人、真横に1人立つと、異例の2人掛かりが始まった。2人同時に相手をして6番取ると、さらに今度はもう1人が背後から仕切った。正面の相手を一方的に押し込むと、片方に送り出されるため、序二段相手にも苦戦。誰よりも汗をかいた玉鷲は「きついです。足腰は年を取ると弱くなるので、2人でやって鍛えている。これは体に合っていると思います」と充実感をにじませた。
今年3月には所属力士が4人に。少数ゆえに、稽古では工夫を凝らしている。師匠の片男波親方(元関脇・玉春日)によると、この申し合い形式は今年3月頃から取り入れ、狙いは土俵際の対応力。「勝ち負けではない。本場所で前に出ても横につかれたりとか最悪な場面を想定する。自分を追い込み、どう攻めるかです」。他にも幕下以下3人を相手にした一丁押しや、ロープトレーニングなど独特な調整方法を見せた。
西3枚目だった先場所は9勝。横綱・照ノ富士(30)=伊勢ケ浜=を破り、昭和以降では最長タイで5人目となる同一横綱から3場所連続金星奪取を達成した。今場所は昭和以降初の快挙が懸かっており、「もちろん楽しみにしています。負けないように頑張りたい」と、横綱戦を心待ちにした。
先月末に現役引退した松鳳山(38)には電話で「(玉)鷲関、頑張ってください」と伝えられ、現役関取最年長のバトンを受け取った。歴代4位の1436回連続出場記録は更新中。現役18年間で休場知らずの鉄人は「名古屋場所でいつも応援してくれる後援会の人たちや自分のファンに、見て良かったと思うような相撲を取りたい」。進化を続けるベテランの姿から目が離せない。(竹内 夏紀)
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