全国高校野球選手権(8月6日から17日間、甲子園)の出場を目指し、東北地区では7月8日から熱戦の火ぶたが切って落とされる(宮城は5日に開会式のみ実施)。スポーツ報知では各県の注目校や注目選手を紹介する。青森からは元プロ野球選手の父・竜也さん(43)と同じ八戸学院光星に進んだ洗平歩人(あらいだい・あると、3年)と比呂(1年)両投手の兄弟が、父の果たせなかった甲子園出場へ力投を見せると意気込みを語った。
父があと一歩で逃した甲子園に兄弟で行ける、最初で最後のチャンスだ。主戦として活躍し、主将も務める兄・歩人は「(1年秋から)ベンチに入れさせてもらっているけど、思ったような結果を残せていない。勝ちに導く投球ができればいい」。兄と同じ千葉・佐倉シニアから4月に入学した弟・比呂は「光星で甲子園に出ることに意味があると思った」と、父や兄の後を追った理由を明かした。父・竜也さんは光星学院(当時)から東北福祉大を経て中日入りした左腕。高校では3年連続で青森大会決勝に先発も、甲子園出場はならなかった。父の無念を2人で晴らす。
歩人は3位だった今春の県大会で4戦中3戦に先発。2回戦、準々決勝は短いイニングで降板も、青森山田との準決勝は試合こそ敗れたが6回を2安打7奪三振2失点と好投を見せた。「気迫を前面に出せればあまり打たれた記憶はないです」と、最速144キロの直球を軸に気持ちのこもった投球で抑えていく。
最速137キロ左腕の比呂は、入学直後だった今春県大会で早くもベンチ入り。登板機会はなかったが“高校レベル”を身近で感じた。練習試合では主力組で登板し、「決まった、と思った球も外野まで持っていかれる。もっと低めにコントロールしないといけないと感じた」と実感。力のある先輩投手が多いなか、「競争は激しいけど、(夏も)ベンチ入りを目指しています」と一歩も引かない。
幼少時はよくキャッチボールをしていた間柄だが、高校では3年と1年、しかも歩人は主将。「2年生が面倒を見てくれているので、自分が何かやることはないですね」(歩人)と、普段はあまり接点はないという。しかし比呂は「(兄と)甲子園に一緒に行きたい気持ちは強いです」ときっぱり。父と同じユニホームを着て聖地のマウンドに立つ思いは、2人とも胸に抱いているはずだ。初戦の2回戦(12日)は青森西と六戸・六ケ所・野辺地・浪岡・板柳・松風塾の連合チームの勝者と対戦。兄弟でチームの力となり、3年ぶりの甲子園切符をつかんでみせる。(有吉広紀)