犬も猫も飼っているからこそ判るオシッコ格差…動物行動学の専門家に聞く「さて、どっちがクサイ?」

スポーツ報知
まるで犬から生まれた猫のようです

 イヌ派とネコ派。SNS上でも好みの分かれるところですが、どっち派も隔てなく癒されると大人気なのが、かもしか(@b09a2032c)さんのツイッター。シベリアンハスキーのユキちゃんと2匹の猫の何気ない日常動画が26万人超のフォロワーを日々ほんわかさせています。

 ユキちゃんと猫たちの、種別の垣根を超越した仲の良さに驚かされます。ユキちゃんが猫の頭にガブリと噛みつくのですが、もちろん甘噛み。猫パンチを浴びると困った顔をして逃げていきます。

 「実はユキはかなりやんちゃで昔は野生動物を噛み殺したこともありました。なので最初は目を離すことができなかったのですが、一緒に暮らしていくうちにその心配もなくなってきて、今ではなんの心配もせずお留守番させたりできます。一緒に過ごしていくうちに、ユキが猫たちのことを家族と認識しているような振る舞いができてきたからかなと思います。一緒にご飯を食べ、一緒に寝るうちに信頼関係ができたと思います」

 本気で争えば圧倒的体格差でシベリアンハスキーが猫たちを制圧するのでしょうが、包容力の大きいユキちゃんは猫たちにあまりに寛容で、その姿がこんな時代を生きる我々の気持ちを温かくさせるのでしょう。

 そんな犬と猫ですが、かもしかさんによるとオシッコ臭には大きな差があるそうです。

 「うちでは猫は屋内の猫砂で、ユキは庭でトイレをしていますが、たしかに猫のほうが臭いがキツイなという印象があります。たまにユキが家の中で粗相しても掃除すればそれほど臭いませんが、猫たちがタオルなどに粗相すると臭いが取れず、捨てなきゃダメになることがありました」

 犬と猫が仲良く暮らしているからこそ判る、オシッコ格差。その理由を動物行動学が専門の摂南大学農学部助教・池田裕美先生に聞きました。

 -シベリアンハスキーのユキちゃんより、体の小さい猫のオシッコの方がクサイって不思議です。

 「はい。これには犬と猫の起源が関係しています」

 -詳しく教えてもらえますか。

 「現在の家猫の祖先はリビアヤマネコとされています。リビアヤマネコは元々今の中東の砂漠に生息しており、クレオパトラが愛していたと言われるほど、古くから人々と近い存在でした。砂漠が起源の猫は、犬と比べて少ない水分で生活する特徴がありますが、それは砂漠という環境に適応する必要性から身に付いたものとされています。獲物で水分を補ったりしていたようです」

 -犬の起源は中東ではない?

 「犬の起源はオオカミであり、諸説ありますが現段階では砂漠地帯ではなく東アジアに生息していたと考えられています」

 ―つまり水分のない環境で誕生した猫とオシッコの臭いが関係しているのですね。

 「誕生起源から、猫は犬よりも少ない水分摂取で暮らしていく動物なんです。人間も含め動物は血液を通して体内の老廃物・不要物を腎臓で漉し出し、尿として体外に排出します。ですが、猫の場合少ない水分摂取量なので、濾過した後の水分を再吸収する必要があります。加えて、猫は尿中の排出されたタンパク質の量が他の動物よりも多いようです。この中の成分の一つが特にキツい臭いの成分であると報告されています。少ない水分にこのような老廃物が濃縮されるため臭いがキツくなるわけですね」

 -犬の場合はどうなのですか?

 「逆に犬は猫より水分摂取が多く、多量の尿を排出するため老廃物の濃度は比例して薄くなります。また、濾し出されたタンパク質も再吸収されるため、猫と比べると尿中のタンパク質量は少ないです。犬と猫を一緒に飼っている人からは『猫のオシッコの方が臭いがきつい』という話を聞くのはそのためですね」

 「猫も犬も同じように私たちの身近にいてくれる存在ですが、起源からみても身体の構造や特性が大きく異なることがわかります。とはいえ、たとえおしっこの臭いがキツくても、想像と違ったからと手放さず、かもしかさんのように愛情深い対応をしてくださる飼い主さんが増えると嬉しいですね」

 ◆池田裕美(いけだ・ひろみ) 摂南大学農学部応用生物科学科助教。1988年、熊本県出身。鹿児島大学農学部卒業、九州大学生物資源環境科学府資源生物科学専攻・博士課程修了。専門は動物行動学、動物栄養学。雨の日の軒先で保護した茶トラの「とら」と暮らす。

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