【オリックス】増井浩俊が野球人生かけた大一番…「自分のいいもの出せる」1軍の“魔力”再確認した38歳

スポーツ報知
増井浩俊

 強い覚悟を垣間見た気がした。「もしかしたら最後になるかもしれない。本当に悔いのないように投げたかった」。6月9日のヤクルト戦(京セラD)。オリックス・増井にとって今季初登板初先発だった。勝てばNPB史上初となる「12球団勝利&セーブ&ホールド」の快挙を達成。5回2失点で負け投手になったが、確かな爪痕を残した。

 今月26日で38歳になった。若手の台頭、世代交代。冷静に現実を受け止め「最後」を意識してきたのだろう。相手は昨季の日本一チーム。1球1球に魂を込めた。ラストイニングだった5回は2死二、三塁のピンチで、山田を空振り三振。「悔いのないように」と言い聞かせ、外角低めいっぱいに直球を収めた。

 球速は151キロ。その日の最速だった。ファームでは今季、一度もなかったという150キロ超え。「やっぱり、投げる場所というのがあると思いましたね」と実感を込めた。通算550試合目だった1軍のマウンド。そこには仲間やファンの応援、体が空中に浮きそうなほどの興奮があった。「自分のいいもの、持っているものが出せる。プロの1軍を経験してしまうと、そこが一番楽しいですね」。感謝の気持ちを力に変え、十分な戦力であることも証明した89球。「点を取ってあげられなくて申し訳ない。ナイスピッチングだった」と中嶋監督からの言葉も心に響いた。

 リリーバーとして163セーブ158ホールドを積み重ね、近年は先発として右腕を振ってきた。「増井のキャリアにとって絶対にプラスになる。先発をやってみてほしい」。16年には10勝(3敗)10セーブをマークし、日本ハムの日本一に貢献。シーズン途中の配置転換は、当時の栗山監督が背中を押してくれた。17年は日本代表としてWBCにも出場。「先発で勝つのは一番難しい。価値は高いと今も思っています」と敬意を忘れず、投手としての幅を広げてきた。

 「テレビで見るのが、めちゃくちゃ楽しみでした。そういう投手になりたかった」と阪神・藤川球児の快速球に目を奪われ、駒大時代にプロを志した。自身の武器も150キロ超の直球とフォーク。「昔は力で押せていたのが、そうはならないことが増えてきた。自分でも感じてはいます」とFA移籍5年目を迎え、加齢と向き合うようにもなった。カーブやスライダーを織り交ぜ、打者と勝負できる方法を模索中。今はまた出番を待つ立場になったものの、ベテランは闘志を秘めている。「楽しい」と再確認した表舞台。まだまだあらがい、挑む。(記者コラム=オリックス担当・長田 亨)

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