【森永卓郎の本音】なぜ太陽光を無視するのか

スポーツ報知
森永卓郎氏

 東京都の小池都知事は、年間2万平方メートル以上の住宅やビルを供給する大手事業者に対して、新築物件への太陽光発電設置を原則義務付ける方針を明らかにした。太陽光発電は環境対策になるだけでなく、電気代の節約にもつながるというのが小池知事の主張だ。

 標準的な戸建て住宅に4キロワットの設備を設置した場合、年間9万2400円の電気代の節約になる一方で、設置費用は92万円程度なので、10年間で元が取れるという。また、東京都からの40万円の補助金を考慮すると、実質6年で元が取れるというのだ。太陽光発電設備は20年以上稼働できるから、大きな電気代の節約につながる。また、災害時の電力確保にも大きな力を発揮するのだ。

 本来、東京都は太陽光発電に不利な地域だ。家屋が狭小で日当たりが悪い家も多いので、効率が低いからだ。だから本来、東京都以外の地域で、積極的に太陽光設置を進めるべきなのに、国は太陽光発電単独への補助金を廃止している。なぜ国は太陽光に冷淡なのか。

 一つの理由は電力会社の負担増だ。太陽光発電は日中の晴れの日に集中するから、電力会社はそれ以外の時間帯に集中して発電しなければならなくなる。ただ、太陽光発電とともに蓄電池を普及させれば、自家消費率が上がって、電力会社の負担は減るのだ。

 もう一つの理由は原子力発電だ。政府は、「安全が確認された原発を再起動する」という方針を打ち出しているが、完全に安全な原発は存在しない。そして一度事故を起こせば、その被害が超長期にわたることを福島第1原発が実証したのだ。

 原発ムラの住人の目には、いまのエネルギー危機が復活のための絶好のチャンスだと映っているだろう。それを許すのかどうかを決めるのは、もちろん国民だ。(経済アナリスト・森永卓郎)

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