森保監督は選手に「勝てる」と信じさせるべき…バスケ女子日本を銀メダルに導いたホーバスHCがアドバイス

スポーツ報知
東京五輪で、チームスタッフと表彰台に上がるトム・ホーバス監督(右から4人目)(カメラ・矢口 亨)

 サッカー日本代表が挑むカタールW杯(11月21日開幕)まで150日となった。森保ジャパンが目標の8強入りを果たすには、優勝候補のドイツ、スペインと同組の1次リーグを突破しなければならない。昨年の東京五輪で、バスケットボール女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバス・ヘッドコーチ(HC、55)=現バスケットボール男子日本代表HC=が単独インタビューに応じ、強豪国と対戦する心得や、自分たちの強みを生かすことの重要性を説いた。(取材・構成=岡島 智哉、小林 玲花)

 ホーバス氏は2017年1月に女子日本代表HCに就任。当初から東京五輪での金メダルを目標に掲げ、男女を通じ五輪で初の表彰台となる銀メダルに導いた。

 「山あり谷ありの5年間でしたが、選手みんなが自分たちの力を信じたから強いチームができた。世界と比べ、日本人は小さい。でも速さもあり、細かいこともできるしチームワークもある。相手がどれだけ大きくても、相手よりいいチームをつくれば絶対に勝つチャンスはあると思っていた。一生懸命に練習をこなし、彼女たちはスーパーチームになりました」

 東京五輪では、メダル獲得3か国(米国・日本・フランス)が同居した1次リーグを2位で突破した。

 「私は『自分たちのバスケットボールをすれば必ず勝てる』と選手に言い続けた。日本が米国と同じバスケをやったら、100回試合をしても100回負けるでしょう。同じ練習量だとしても、同様に100回負けます。でも米国より練習をし、米国とは違う新しい自分たちのスタイルをつくることができれば、結果は違うかもしれない。ドイツ、スペインといった相手の名前は関係ない。日本の強みを発揮できないと勝てない」

 真剣な表情のホーバスHCから『サッカー日本代表の強みは何だと思いますか?』と“逆取材”が飛んだ。献身性や連係、アジリティ(俊敏性)などを列挙すると、名将は深くうなずいた。

 「日本がドイツと同じサッカーをやったら、ドイツが勝つでしょう。日本らしいサッカーを展開するべきです。明確な日本の強みがあればチャンスはある。私は『世界一のパスチーム』になると掲げ、パス練習をたくさんやった。選手たちにも私の思いや自信は伝わっていたかなと思う」

 カタールW杯開幕まで150日となった。6月の4連戦は2勝2敗【注1】。課題も見つかった。森保ジャパンが進むべき道とは。

 「9、10月になったら相手の弱み・穴を見つけ、そこへの対策を考えるべきです。ただ、今はまだチームをつくる時。相手がどこかは関係ない。選手たちが自分たちの長所・強みを信じなかったら無理です。監督やコーチは信じさせるべき。これをちゃんとやったら勝てる、ここをレベルアップさせれば勝てる、しなかったら勝てないよ、と」

 ホーバスHCは東京五輪女子代表に100以上のフォーメーションをたたき込むなど、戦術家としての一面も持つ。相手の分析作業の中で最も力を入れたのは、1次リーグ初戦で対戦したフランスだった。

 「初戦に勝てれば、決勝トーナメントに行けると思ったので。初戦は重要です。映像を探して研究し、フランスの攻撃に対する守備の練習を徹底しました」

 選手だけでなくコーチ陣の役割も重要になる。ホーバスHCは自身の経験を交え、森保一監督らスタッフ陣にエールを送った。

 「ドイツやスペインと対戦する時に、選手が『勝てるかなあ…』という気持ちになっていてはダメ。選手は、選手自身が思っているよりいいプレーができるもの。監督やコーチの仕事は『勝てるかなあ…』と思っている選手に『あなたの限界はそこではなく、もっと上のここだよ』と提示することです。私は女子代表HCの5年間、選手に『あなた、もっとできるよね?』と言い続けた。日本のサッカーは世界から見ればアンダードッグ【注2】かもしれません。だからこそ、自信や気持ちが大事。自分たちの力を信じてください!」

 【注1】ブラジルに0―1と善戦も、W杯出場国のチュニジアに0―3で惨敗。新布陣や新たな選手の組み合わせにトライする中でパラグアイ、ガーナに勝利したが、課題も見つかった。

 【注2】かませ犬。指揮官の出身国・米国では到底勝ち目の無いチームの意

 ◆トム・ホーバス 1967年1月31日、米コロラド州出身。55歳。ペンシルべニア州立大卒。90年にトヨタ自動車(現・A東京)に入団。94年にNBAのアトランタ・ホークスでプレー。その後、再びトヨタ自動車に復帰し、2000年に東芝(現・川崎)に移籍。1年プレーして現役を引退。16年に女子日本代表アシスタントコーチ、17年に女子日本代表HCに就任し、東京五輪で銀メダル獲得。21年から男子代表HC。妻は日本人。

 ◆21年東京五輪のバスケ女子日本代表VTR(世界ランクは当時)

 ▼7月27日 1次L・世界ランク5位フランス戦(74〇70) 同10位の日本は、第4Q残り2分を切り同点。そこから高田のシュートで逆転し、残り30秒には長岡が勝利を呼び込む3点シュートを決めた。

 ▼30日 1次L・同1位米国戦(69●86) 前半は40―49と1ケタ点差内でついていくが、後半引き離された。3点シュート成功率は26.3%だった。

 ▼8月2日 1次L・同17位ナイジェリア戦(102〇83) 1976年モントリオール五輪以来、2度目の100点ゲームで快勝。3点シュートがさく裂し計19本成功。

 ▼4日 準々決勝・同6位ベルギー戦(86〇85) 2点を追う残り15.2秒で林が3点シュートを沈め、劇的大逆転勝利。初の4強入り。

 ▼6日 準決勝・フランス戦(87〇71) 前半は41―34と競った展開となったが、後半も走力が落ちず、相手を振り回して勝利。銀メダル以上が確定した。

 ▼8日 決勝・米国戦(75●90) 身長203センチのグライナーに30得点を許し、ゴール下を支配された。日本はフィールドゴール成功率36%にとどまり敗れた。

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