カトパンはフジテレビの救世主になれなかったのか?…9月いっぱいでの番組降板で思い出す3年前の笑顔

2019年3月のフジテレビ改編会見で「報道キャスターを任せていただけるのを光栄に思っています」と笑顔で語っていた加藤綾子アナウンサー
2019年3月のフジテレビ改編会見で「報道キャスターを任せていただけるのを光栄に思っています」と笑顔で語っていた加藤綾子アナウンサー

 この人がお台場からいなくなるのは、新社長のもと完全復活を狙うフジテレビにとって痛手だろうな―。僭越(せんえつ)ながら、そんなことを思った。

 フリーアナウンサーの頂点的存在の加藤綾子アナ(37)が今年9月いっぱいで同局系報道番組「Live News it!」(月~金曜・後4時50分)キャスターを卒業する。

 既に今年4月、約12年間に渡って出演してきた同局系「ホンマでっか!?TV」(水曜・午後9時)も降板済みのため、08年に入社、16年のフリー転身後も「局の顔」として支え続けてきたフジから一旦、去ることになった。

 昨年6月には一般男性と結婚。今回の降板について、加藤アナは結婚1周年にあたる6月6日に自身のインスタグラムを更新。「今年でアナウンサー生活15周年を迎え、これまで仕事第一で走り続けてきましたが、ちょうど昨年の今日結婚し、長い目で人生を考えた時、家族との時間もより大切に過ごしてみたいと思いました」と淡々と記した。

 08年に民放3局の入社試験に同時に合格した「スーパー綾子」としてフジに入社。「カトパン」の愛称のもと、明るい笑顔と天真らんまんなキャラクターでスポーツ番組やバラエティーで大活躍。抜群の親しみやすさを武器に数多くのバラエティー番組に引っ張りだこのスターアナだった。

 フジにとっての、その存在の大きさを心底、感じさせられたのは3年前。19年3月6日、東京・台場のヒルトン東京お台場に約80人の放送担当記者を集めて行われた同局の4月番組改編発表会見の席上だった。

 同局は18年4月、「みなさんのおかげでした」「めちゃ×2イケてるッ!」など長年続いた大型バラエティーを軒並み終了させる「史上最大の改編」を断行。「月9ドラマ」の連続ヒットなど業績を上向きにした上で最後の切り札として切ったカードが「ゴールデン帯への入り口となる夕方のニュース番組の刷新」だった。

 多くの視聴者が集うゴールデンタイム(午後7時~10時)への“呼び水”としての夕方のニュースの強化。番組名も「Live News it!」に変え、4月からスタートさせた大型報道番組の切り札が2年前に退局、フリーに転身したばかりの加藤だった。

 清楚(せいそ)な白のブラウスに黒のタイトスカートで登場した加藤が「番組が4月1日の新元号発表の日にスタート。平成最後、そして、新しい時代の幕開けの時に報道キャスターを任せていただけるのは光栄に思っています」と目を輝かせたのを昨日のことのように覚えている。

 編成・報道全体の責任者だった石原隆取締役(当時)の「分かりやすく間口が広いニュース番組を目指したい」と、加藤をメインキャスターに迎えた理由を明かした言葉も、頭にくっきり残っている。

 あれから3年。結果的には、加藤起用は決して成功したとは言えない。「Live News it!」の世帯視聴率は日本テレビ系「news every.」などの後塵(こうじん)を拝し、4位。個人視聴率ではキー局最下位を免れているものの、カトパン人気で一気にゴールデン帯への“呼び水”とはいかなかったというのが、正直なところだ。

 メインキャスター就任当時、「キャスター・カトパン」について、主婦でもある同僚記者たちに聞いてみた。「基本的に柔らかい笑顔の人だから、シリアスなニュースを伝えるのには向いていない気がする。生活情報番組ならハマると思うけど、例えば無差別殺人や災害などを伝える時の信頼度という点でどうなのか」、「笑顔が似合うだけに重いニュースの時、どうするんだろうと思ってしまう。適材適所ではない感じがする」―。そんな声が集まった。

 番組スタート直後の定例社長会見でも視聴率が伸び悩む現状を受け、私は宮内正喜社長(当時)に、こんな質問をした。

 「ゴールデン帯への呼び水としての視聴率としては、やや低いのではないか」―。

 この質問にマイクを持った報道担当の役員(当時)は「帯番組というのは視聴習慣がつくまでにかなりの時間がかかります。そういう意味で、この番組をじっくり育てていきたい。前番組からカラーやコンセプトも変えたので時間はかかる。千里の道も一歩からではなく、十里の道も一歩からということで着々とブラシュアップしていきたいと思っています」と答えた。

 さらに「加藤さんの場の雰囲気を良くする笑顔や資質は生活情報番組などには向いていても、事件なども多く報じるニュース番組にはどうなのかという見方もあるが?」と聞くと、同役員は「そういった声もいろいろなところで聞きますが、全く心配しておりません。ニュースキャスターとして、ふさわしい資質を持っていると思います。彼女はきちんと自分の目線でコメントもできる。そのあたりを前面に出していけば、徐々に視聴率も伸びていくと思っています」と続けた。

 そして今、3年に渡った「カトパンの冒険」は本人のプライベート上の大きな変化もあり、一旦、ピリオドが打たれる。

 「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチフレーズのもと82年から93年まで12年連続で視聴率三冠王を続けた栄華も今は昔。現在、個人視聴率で全日、ゴールデン、プライムともキー局中4位と低迷するフジは今月28日に行われる株主総会で金光修社長(67)が退任。後任には共同テレビジョンの港浩一社長(70)が就任する。

 「オールナイトフジ」、「とんねるずのみなさんのおかげです」の演出など、とんねるずの番組中心に同局の看板バラエティー番組を数多く手がけてきた同局の「ザ・バラエティー」的存在の新社長と入れ替わるように、お台場を去って行くカトパン。

 3年前の輝くばかりの笑顔を目の当たりにした私は「家族との時間も大切にした」カトパンが将来、女性としての厚みを一層、増した上で、優しさたっぷりの笑顔でニュースを伝えるキャスターとして戻ってくる―。そんな日を、そんな番組を今、夢想している。(記者コラム・中村 健吾)

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