柚香光、リストの恍惚と不安「共感、ありあり」…花組公演「巡礼の年―」宝塚大劇場で上演中

スポーツ報知
「芸術家の苦悩」にアプローチしている宝塚歌劇花組トップスター・柚香光(カメラ・筒井 政也)

 宝塚歌劇花組トップスター・柚香光(ゆずか・れい)が、ミュージカル「巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~」で、エンターテイナーの華やかさと繊細さを兵庫・宝塚大劇場の舞台で表現している(7月11日まで)。19世紀に「魔術師」とも呼ばれたカリスマ的ピアニスト、フランツ・リストの“心の旅”を描く物語で、同じパフォーマーとして「共感、ありありです」。ショー「Fashionable Empire」と2本立てで、充実期をアピールしている。(筒井 政也)

■ナルシシズムと自己否定

 「選ばれし者の恍惚(こうこつ)と不安、二つ我にあり」。リストと同じ19世紀に生きたフランスの詩人ヴェルレーヌの言葉だが、そのまま引用できるような、人気者の宿命に迫る作品だ。

 リストは、パリのサロンに集う貴婦人を、美貌(びぼう)と音色で虜(とりこ)にするスター奏者。自信にあふれ、ナルシシズムも感じさせる。「エンターテイナーの要素が強く『ピアノ界のアイドル』といわれる方。彼の自己プロデュース力、サービス精神からくる華やかさ、輝きに人間味を持たせたお芝居をしたい」

 一方で、リストはマリー・ダグー伯爵夫人(星風まどか)が偽名で書いた公演評に衝撃を受け、知らないうちに自分を超える存在になった「フランツ・リスト」と本名の「リスト・フェレンツ」との狭間でさまようことに。「光が強い分、芸術家らしい奥ゆかしさ、繊細さを根深く」と心の奥へとアプローチしている。

 生徒、演出家、脚本家、オーケストラ、衣装担当などなど、歌劇団自体が創造に注力する者の集まりでもある。「程度は違えど、自分にも思い当たることも。芸術、音楽を愛するがゆえの自己否定だったり、お客様のためなら何でも投げ打つエネルギーだったり」と、ジェンヌとしての修業の日々とも重ね合わせる。

■男役の雄姿とオフの姿

 舞台上の凜々(りり)しい男役の雄姿と、オフの姿も少し違う。「本名の私は家でのんびり、ひなたぼっこが好き。柚香さんは朝から晩まで日の当たらない教室の中。全然違う所にいる。面白い。でも、どちらも本当の自分。『人が笑っているのが好き』が、揺るぎない共通項。そこが柚香という人を動かしている」と自己解説した。

 ただ“柚香さん”に自分が驚くこともあるとか。「『タカラヅカ、すごく好きじゃん!?』って。今回のショーでも、下級生が生き生きと踊っている場面を見ると、泣けてくるんですよね(笑い)」。「Fashionable―」は、荘厳な雰囲気のある芝居との対比もあって、現代的でより元気はつらつに映る。リーダーの好影響に違いない。

 トップ就任から2年半が経過。「ダンスの花組」の看板に自ら磨きをかけているが、前作「TOP HAT」の経験を経て、総合力アップを感じてきている。「踊りへのこだわりが増えたのはもちろん、歌・踊り・芝居の垣根、隔たりが変わった気がします。以前は、別物に感じていたかもしれませんが、全部が一本のレールになっていくような。シフトチェンジする感覚がなくなっている印象ですね」。教室で蓄えたエネルギーが満ち、鮮やかに発光している。東京宝塚劇場では7月30日~9月4日に上演。

■ピアノ弾き語り披露 〇…柚香は「巡礼の年」の一部で、実際にピアノの弾き語りを披露している。幼少の頃から宝塚音楽学校入学までピアノを学び、名鑑の特技の欄にも記載する。「受け身で習っていた時代と違い、劇団では自発的に求めて取り組んでいく。『こうしなさい』から『こうしたい』へ明らかに変わった。音符の見え方が違うのはうれしい発見ですし、大きな財産になる」と初体験を喜んだ。

 ◆柚香 光(ゆずか・れい)3月5日生まれ。東京都杉並区出身。2009年4月「Amour それは…」で初舞台。第95期生。花組に配属され、19年11月に花組トップスターに就任。10月14日~11月3日には「フィレンツェに燃える」(「Fashionable―」との2本立て)の47年ぶりの再演を全国ツアーで行う。身長171センチ。愛称「れい」。

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