全日本大学駅伝(11月6日、名古屋市~三重・伊勢市)の関東地区選考会が19日午後5時30分から相模原ギオンスタジアムで行われる。有効期間(21年1月1日~22年6月4日)の1万メートル公認記録の上位8選手の合計タイムによる上位20校が参加。1万メートルのレースが4組行われ、各校2選手が出場して計8人の合計タイムで争う。上位7校が本戦出場権を獲得する。
例年6月下旬に開催される全日本大学駅伝関東地区選考会は、猛暑に見舞われることもあり、ゴールできずに途中棄権をする選手もいる。ハーフマラソンに各チーム12人が出走し、上位10人の合計タイムで競う箱根駅伝予選会と異なり、出走8人全員の1万メートルの合計タイムで競うため、ひとりでも途中棄権すると、その時点で伊勢への道は途絶える。古くは2005年に東海大、最近では2016年に神奈川大と創価大、2018年に中大が途中棄権し、本戦の出場権を逃した。しかも、一定のペースで進む記録会とは異なり、レースの途中でペースが乱高下することが多く「速さ」より「強さ」が求められる。
この日、会場の相模原市は最高気温が29・2度に達し、高温多湿なタフな条件となった。約1週間前まで涼しい日も多く、急激な温度上昇がさらに選手を苦しめることになりそうだ。特に午後5時30分スタートの第1組、午後6時10分スタートの第2組は予断が許さない。ある監督は「途中棄権のチームが出るかもしれない。我々も十分に注意したい」と厳しい表情で話した。
東洋大は昨年の本戦10位でシード権(8位以内)を逃し、2008年以来、14年ぶりに選考会に回った。2009年に就任した酒井俊幸監督(46)を含め、チーム全員が初の選考会。強豪が集まる最終組にはエースの松山和希(3年)と期待のルーキー緒方澪那斗が出走する。「松山は好調です。緒方は今後を考えて厳しい組を経験させたい」と酒井監督は期待を込めて話した。
選考会で持ちタイムのトップは創価大は初の全日本大学駅伝初出場を狙う。実質5年生の嶋津雄大(4年)、フィリップ・ムルワ(4年)を軸に伊勢路を目指す。コロナ禍の影響で選考会が開催されずに記録による選考となった20年、一時休学していた嶋津(当時3年)の記録が加算されずに全日本大学駅伝初出場を逃した。今回、最終組に投入された嶋津には持ち味の勝負強い走りが期待される。
注目は大東大。箱根駅伝優勝4回、全日本大学駅伝優勝7回を誇るが、近年、箱根駅伝予選会は3年連続で敗退。全日本大学駅伝選考会は4年連続で敗退している。しかし、2019年に全国高校駅伝で宮城・仙台育英を優勝に導いた真名子圭(まなこ・きよし)監督(43)が今春、就任し、チームは上向き。特にケニア人留学生のピーター・ワンジル(2年)の復調が目覚ましい。昨年は全日本大学駅伝関東選考会、箱根駅伝予選会でいずれもチーム最下位に終わるなど絶不調だったが、5月に5000メートルで13分31秒97の自己ベストをマーク。仙台育英高を卒業後、実業団のコモディイイダに3年間、在籍していたワンジルにとって高校2年生以来、実に6年ぶりの自己ベスト更新だった。高校時代の恩師の真名子監督の指導を受けることで本来の力を取り戻した。昨年の全日本大学駅伝関東選考会では最終組で大ブレーキを喫したが、今年は前半の第2組でポイントゲッターとして期待される。
帝京大、神奈川大、中央学院大は持ち味の粘り強い走りで選考会突破を狙う。
法大は関東学生対校1部5000メートルで見せ場をつくった松永伶(3年)を中心に勢いがある。
東海大は石原翔太郎(3年)、日体大は藤本珠輝(4年)、拓大はジョセフ・ラジニ(4年)とそれぞれエースがメンバーから外れた中で、中堅クラスの選手が鍵を握る。
今年の箱根駅伝に初出場した駿河台大、「日本一速い監督」の上野裕一郎監督(36)率いる立大は初の全日本大学駅伝出場を狙う。
本戦には全国から25校とオープン参加の日本学連選抜チーム(東海を除く全国7地区学連)と東海学連選抜チームを含めた27チームが出場。昨年の本戦で優勝した駒大を始め、2位・青学大、3位・順大、4位・国学院大、5位・東京国際大、6位・早大、7位・明大、8位・中大はシード校。関東地区からは計15校が本戦に出場する。
全日本大学駅伝の関東選考会に出場する20校は、持ちタイム順に以下の通り。
創価大
東海大
日本大
東洋大
日体大
拓大
中央学院大
城西大
法大
山梨学院大
大東大
立大
帝京大
駿河台大
上武大
神奈川大
東農大
国士舘大
日本薬科大
専大