2011年に肺炎のため死去した俳優・原田芳雄さん(享年71)の孫・原田琥之佑(こうのすけ、12)が、映画「サバカン SABAKAN」(8月19日公開、金沢知樹監督)で俳優デビューする。このほどスポーツ報知の取材に応じ、敬愛する祖父や俳優業への思いを明かした。
琥之佑は10年、芳雄さんの長男でギタリストの喧太(けんた、52)と妻の間に誕生。俳優の佐藤浩市(61)は、姻戚(佐藤の妻と喧太の妻が姉妹)に当たり、幼い頃から日本映画に触れて育った。
芳雄さんは自身が1歳半の時に他界しており、直接的な思い出はほとんどないが、芳雄さんの遺作「大鹿村騒動記」(11年)を繰り返し観賞し、俳優業に憧れを抱いてきた。「周りがみんな『芳雄』と言うので僕も物心ついた時からそう呼んできました。大好きな芳雄と同じ道を走れることが、ものすごくうれしい」と念願の俳優デビューに笑顔がはじける。
芳雄さんは、報知映画賞助演男優賞を獲得した「どついたるねん」(89年)など100本以上の映画に出演。アウトローの役者として数々の名演を見せ、松田優作さん(享年40)や佐藤らに敬われた。偉大な祖父を持つことの重圧を聞くと「全くない」ときっぱり。「でも芝居をしてみて、僕はメンタルが弱い部分があると分かった。堂々と芝居をする芳雄はやっぱりすごい」と実感している。
知人の勧めで出演が決まり、昨年夏に撮影した「サバカン」は、昭和の長崎を舞台に少年2人のひと夏の夢と冒険を描く。琥之佑は、初演技ながら物語の中心となる、ぶっきらぼうな小学生・竹本役を演じた。
口数が少ない役だけに「表情でも竹本の気持ちを表現することを意識しました」と等身大のあどけなさと、内に秘めるさみしさを見事に表現。長崎弁を習得するのには苦労もあり「何度も練習し、日常生活でも方言が出ちゃいました」と念入りな役づくりに励んだ。
俳優として大きな一歩を踏み出し「『サバカン』の初号試写では、隣に芳雄が座っている感覚がありました。映画に出ている姿をもっと見てほしいし、コメディーやいろいろなジャンルに挑戦したい」と飛躍を誓った。(奥津 友希乃)
◆原田 琥之佑(はらだ・こうのすけ)
▼生まれ 2010年2月2日、東京都生まれ
▼身長・体重 154センチ、41キロ
▼靴のサイズ 24センチ
▼血液型 A
▼得意教科 数学、体育
▼あだ名 「口が悪い時があり、友だちから『毒舌子役』と呼ばれています」
▼好きな映画 「大鹿村騒動記」、米マーベル・スタジオ作品全般
▼好きな食べ物 ラザニア、母が作ったギョーザ
▼趣味 絵を描くこと、鬼ごっこ
▼特技 ディズニーキャラクター・スティッチのものまね
「サバカン」に出演する草ナギ剛(47)とは共演シーンはなかったが、撮影現場で初対面し「優しい『ふわんふわん』としたオーラがにじみ出ていました」。撮影終盤にも、草ナギのシーンを見学。クランクイン時から身長が5センチ近く伸びたことから「『大きくなったね』と驚かれました。『頑張ってね』とも声を掛けてくれました」と背中を押されたことを明かした。