デフ種目が日本選手権で初開催…金メダル“幻”のリレー代表が力走「特別な大会になった」

デフ男子4×100メートルリレー 第2走者・山田真樹(左)から第3走者・山本剛士にバトンをつなぐ
デフ男子4×100メートルリレー 第2走者・山田真樹(左)から第3走者・山本剛士にバトンをつなぐ

 ◆陸上 日本選手権 最終日(12日、大阪・ヤンマースタジアム長居)

 デフ(聴覚障害)種目が初めて同時開催され、22年ブラジル・デフリンピック代表の山田真樹(渕上ファインズ)が男子100メートルを10秒98(追い風0・8メートル)で優勝。400メートルリレーでも第2走者で力走し、チームは43秒44を記録した。「日本選手権の中で開いてもらい、運営のおかげで感謝しています。難聴者が夢へ全力で戦う姿を、今回チャレンジさせていただけて見せられた。特別な大会になった」と実感を込めた。

 5月のデフリンピック(ブラジル)で、400メートルリレー代表は2連覇が期待されていたが、他競技に新型コロナ感染者が出たことで、日本選手団全体が大会途中に出場辞退を決定。戦いのスタートラインに立つことなく、ブラジルを後にした。第3走者の山本剛士(びわこ成蹊スポーツ大)は「仕方ないし、残念な結果だけど、素直に受け止めるしかなかった。リレーができないまま日本に帰るのは悔しかった」と本音を明かした。山田は、本命の200メートルにも出場できなかった。「モチベーションが下がったけど、今回で切り替えができた。次に向けて、また頑張ろうという大会になった」と語った。

 今大会で106回の歴史がある日本選手権と、同時開催。デフ陸上の知名度向上の第一歩になる。第1走者の坂田翔悟(愛知陸協)は「(ブラジルで)走るはずだったリレーメンバーで走れたうれしさを感じている。もやもやがスッキリした。一段落、落ち着いた感じがする」と心境を語った。アンカーの佐々木琢磨(仙台大TC)は、デフリンピックで途中辞退前に100メートルを優勝し、世界王者となった。「世界一になった以上、多く知ってもらえることをしていきたい。デフを広める使命があると思って、(今大会)100メートルもリレーも走り切れて良かった」と背筋を伸ばしていた。

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