自分ごとですが、1日に30歳の誕生日を迎えました。SNSとかでファンの方々からおめでとうとか連絡が届いて。これからまた色んなところで活躍を見られるのはファイターズファンとしてありがたいですっていうような言葉をいただいて。うれしかったですね。こうやってファイターズで仕事していて良かったなあって、改めて思いました。
誕生日で覚えているのは2015年、マツダでの広島戦でツインズに行った前田健太さんからホームラン打ったんです。外角のスライダーを代打で。それが誕生日翌日の2日だったんですよ。それでチームが勝って。その後、前田さんにテレビで会った時に「あのホームラン本当に良かったよね。あのコース打たれたの初めてだわ」って言ってもらえて。それから会うたびに声をかけてもらってます。引退する時も前田さんから「あのホームラン忘れてないから」って言ってもらえたのを覚えてますね。
今年は誕生会とかはなかったですね。夜も講演を聞きに行ってたので。皆さんは祝杯とか挙げたりするんですよね。僕は選手辞める2年間くらい、お酒飲んでなかったんですよ、コロナもあって。お酒で印象に残っているのは日本一になった16年のビールかけ。10月末に広島でやったので寒い寒い、早く終わろうみたいな。冷たいし、皮膚から入ってくるんですぐ酔っぱらうんですよ。でもあれを経験できたのは、プロ野球選手で良かったなと思えた瞬間。一番活躍した年でしたし、それは良かったですね。
引退して、今は付き合い程度は飲むようになったかな。先日、会食があった時にクラフトビールを飲んだんですよね。浅い知識ですけど、それぞれ味が違うなっていう感覚ではありました。これがはまる人はそういう楽しさあるんだろうなって。新球場ではヤッホーブルーイングさんが製造・販売する「よなよなエール」さんのクラフトビールが、センターバックスクリーンにできる醸造所とレストランなどで飲めるんです。最初、そこにできるって聞いた時は、選手目線で「大丈夫」っていう思いもあったんです。どの球場を探しても、バックスクリーンに人が入るというのはないことだし。ただ作った人たちに聞いても、それはちゃんと計算してるから問題ないと。
考えたら、ある意味、この球場じゃないとバックスクリーンに入れない。エスコンフィールドじゃないとバックスクリーンから野球を見られないよっていうのは、見に来る人たちの一つ楽しみではあるのかなと。バックネット側から見たら選手の動きとか分かりますけど、今度は打球が近付いてくる上での選手の動きが見られるなと。それに球場に合わせた自分の技術っていうのを選手たちが身に着けていけば、当然結果は出ますから。バックスクリーンに人がなんて小さなことだなと。関係ないですよね。
何といってもファイターズは世界初、日本初が大好きな会社なので。今まで見たとこがない光景を、僕も来年はその位置から野球を見てみようと思ってます。
◆谷口 雄也(たにぐち・ゆうや)1992年6月1日、三重県生まれ。愛工大名電高から2010年ドラフト5位で日本ハムに入団。外野手として、12年から通算272試合に出場。16年には自己最多の83試合に出場し、日本一に貢献。21年10月25日に現役引退を発表。通算打率2割4分1厘、7本塁打、42打点。今年1月、ファイターズスポーツ&エンターテイメントに入社。今企画のタイトルは現役時代の愛称「きゅん」から取っている。