4年を経ても変わらないマツコのバランス感覚と優しさ…テレビ界のモンスターであり続ける理由がそこに

マツコ・デラックス
マツコ・デラックス

 ああ、この人の優しさとバランス感覚は4年経っても全然変わっていない―。そう感じさせる「テレビ界のモンスター」の生放送での言葉だった。

 タレント・マツコ・デラックス(49)が6日放送のTOKYO MX「5時に夢中!」(月~金曜・午後5時)に曜日コメンテーターとして生出演。日本の社会特有の「優しさ」と、そこに横たわる問題点について私見を述べた。

 この日の番組では、1人でパン屋に来て複数のパンを床に落としてしまった小学校1、2年と見られる子どもを目撃した人のエピソードを紹介。子どもは落ちたパンを拾い集めてレジに持っていき精算したが、店員は無言で代金を受け取るのみ。悲しそうな表情で帰っていく子どもに対し、声もかけなかったという場面を見た人の「子どもがかわいそうだった」という感想をつづった上で、客が自己責任として買い取るべきなのか、店側が代金は取らずに交換してあげるのがいいのか、どちらが正しいのかが話題になっているという記事を取り上げた。

 この件について聞かれたマツコは「時代もあると思うんだよね。殺伐としていくんだろうなという気がする、今後」とまずポツリ。「もし、無償で交換するんだったら(客が)大人でもそうしてあげるべきだよね、落としてしまった場合は。それが社会のルールなんだったらいいけど、子どもやお年寄りは交換するけれども、あたしらが落としたら交換してくれないってなってくると、それが差別って言われてしまう時代になっていくのかな」と続けた。

 さらに「今まではいい加減だったじゃん? 日本人って。おおらかっていうか。子どもがそれをやったら、やってあげるのが当然だったし。多分、あたしが店員さんだったとしても(無償交換を)やっちゃうと思う。お子さんやお年寄りがそうしたとしたら」と話すと、「でも、それが子どもさんやお年寄りだからいいよねって感じじゃなくなってきちゃうのかなって。それもある意味、区別という名の差別じゃん。平等という意味でさって」とした。

 その上で「今、経済的な成長も終わった国でさ。あんまり、それをやっちゃうと変なのも出てくるだろうし。そんなこと言わなきゃいけない状況になっているのは悲しいことだけど、なんか、優しさだけで済まされるのかな、今後っていう嫌な感じはするわよね」と続け、「日本のいいところというのが、どういうものがベースにあった上で成り立ってきたのかということよ。みんなが貧しかった時代とか右肩上がりでどんどん経済が成長していくんだって時代は心が豊かだったんだろうけど、これから同じ事が、それでもやれるかな、日本人は?っていうことよ」と結論づけた。

 そして、常に辛口のマツコがポロリと優しさをのぞかせたのが、この後だった。

 「でもさ。私がその時、お店にいたら、その子の分の代金、払っちゃうな。『かわいそう』とか思って見ているんだったら、払っちゃった方がいい」―。

 コメンテーターとしてのマツコの見識の広さとバランス感覚。そして、優しさを実感してほしくて、その言葉を長々と引用してみた。

 そして「私がその場にいたら、代金払っちゃうな」という言葉を発した瞬間の優しい表情を見た瞬間、私の記憶は4年前のテレビ東京・天王洲スタジオへとフラッシュバックしていた。

 2018年5月、テレ東ではマツコが同局の特別番組5つに立て続けに出演する「無理矢理、マツコ。テレ東に無理矢理やらされちゃったのよ~」プロジェクトを進めていた。

 私はその第1弾となるクイズ形式の番組「マツコがマネーをあげたいクイズ」の収録に潜入取材した。当時も月曜の「月曜から夜ふかし」から土曜日の「マツコ会議」まで民放キー局の番組プラス「5時に夢中!」の計8番組にレギュラー出演と、見ない曜日がない“日替わりマツコ”状態だった超売れっ子は、テレ東の同番組出演で民放キー局を完全制覇したのだった。

 そのパワーの源を探るべく、2時間に及んだ収録後の会見の場で「ハードスケジュールの中、体調面は大丈夫なのか?」と質問しようとした。

 しかし、「報知の中村です」と名乗ったとたん、マツコに「報知新聞はダメです~!」とピシャリと言われた。直後にニヤリと笑うと、「じゃあ、いいわよ。聞いても」と言われたので体調面の質問をすると「そこで、『今年のジャイアンツはどうですか?』って聞くのよ。報知なのに、なんで分からないのよ~」と私をイジった後、「そういう仕事じゃないよね、ごめんね」と一言付け加えた。

 やっと、「私、テレビ以外の仕事してないから。結構、そんなにハードじゃないよ。ほら、グラビアの女の事務所とかだとイベントとかいっぱいやらなきゃいけないけど、ウチは地味~な会社なんで。テレビの仕事だけやってるだけだから。そんなにハードじゃないのよ」。聞きたかったことにきちんと答えてくれた。

 図に乗った私が「今日の収録を見ると、ものすごいテンションで現場を盛り上げているから疲れないのかなと思って」とさらに聞くと、「バカにしてんの?」と周囲を爆笑させた後、「やっぱり、報知って、こういうやり口なの? 私が原(辰徳)監督の親戚だったら、こんな扱いじゃないのか?」と一同爆笑のコメント。今度は、こちらの社名をイジって、おいしく場を盛り上げてくれた。

 当時の再録は以上だが、このやり取りを記事化した際の読者からのコメントが、まさにマツコの魅力を言い当てていると思うので、こちらも再録する。

 「その人1人1人のバックグラウンドをちゃんと理解していて、毒もありながら、ちょっとクスッとなり、その上、相手を傷つけないツッコミこそマツコさんの魅力」―。

 そう、巨人報道を紙面、web記事の中核としている「スポーツ報知」の特性をしっかり把握した上で、その場の全員に質問者としての私の立ち位置をアピール。その上で、一連のやり取りを笑いに変える。これぞ、「マツコによる、マツコだけの芸」だったと、4年経過した今でも思う。

 「どんなに売れても謙虚さを忘れない。媚びない、ブレない意見だから、聞いていて気持ちいい」

 「毒を吐きながらも、そこには愛情がある」

 「一つ一つの言葉に引き寄せられるインパクトがある」

 「辛口コメントでも常に相手を観察して気を使って愛情もある」

 当時の私の記事に寄せられたマツコの魅力を語る読者のコメントは、今もそのまま通じるものばかりだ。

 もう一度、4年前の取材の最後の場面を振り返る。会見終了後、「報知ネタ」でツッコんだ私の方を笑顔を浮かべながら、じっと見たマツコは「ありがとうね、ありがとうね」と繰り返しながら、午後9時半過ぎ、さらに別の局のもう一つの番組への収録に向かった。

 私の質問に「結構、そんなにハードじゃないよ」と答えていたが、その日は本来、午後8時までに収録を終え、移動しなければいけなかったところを、マツコが納得いくまでカメラを回したため、1時間半押しだったことを後からスタッフに聞いて知った。

 そう、テレビ界のモンスターの魅力は、何年経っても変わらない。マツコは180センチ、140キロの巨体を揺らし、辛口だけど、ちょっぴり優しいコメントを口にしながら今日も突っ走っている。抜群のバランス感覚とともに―。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆マツコ・デラックスの現在のレギュラー番組と出演開始年

 ▽日本テレビ

 「月曜から夜ふかし」(月曜・午後10時、2012年~)

 「マツコ会議」(土曜・午後11時、2015年 ~)

 ▽テレビ朝日

 「マツコ&有吉 かりそめ天国」(金曜・午後8時、2017年~)

 ▽TBS

 「マツコの知らない世界」(火曜・午後8時57分、2011年~)

 「週刊さんまとマツコ」(日曜・午後1時半、2021年~)

 ▽TOKYO MX

 「5時に夢中!」(月~金曜・午後5時、2005年~)※月曜コメンテーター

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