駅伝シーズン占う関東インカレで東洋大がV字回復 長距離種目で昨年の0点から得点王

スポーツ報知
ハーフマラソン2位でゴールする東洋大の梅崎蓮(カメラ・今成 良輔)

 関東の大学の長距離ランナーにとって、箱根駅伝と並ぶ2大イベントの関東学生陸上競技対校選手権(通称・関東インカレ)が5月19~22日、東京・国立競技場などで行われた。昨年大会の長距離種目で入賞者ゼロに終わった東洋大は1部で最多得点をゲット。駅伝シーズンに向けて勢いをつけた。「関東インカレを制する者が箱根を制す」という格言がある“初夏の陣”。東洋大の戦いぶりを追った。

 鉄紺軍団が見事なV字回復を果たした。昨年の関東インカレの1500メートル以上の種目で、2009年に酒井俊幸監督が就任以来、初めて入賞者なしに終わった東洋大は今年、8人が入賞し、33点を獲得。1部の「得点王」に輝いた。

 特に1万メートルでは児玉悠輔(4年)が3位、エース松山和希(3年)が6位、佐藤真優(3年)が7位でトリプル入賞。ハーフマラソン(21・0975キロ)でも梅崎蓮(2年)が2位、木本大地(4年)が5位、主将の前田義弘(4年)が8位とトリプル入賞を決めた。「3人の入賞者を出せたことは駅伝に向けて自信になるし、インパクトを残せたと思います」と酒井監督はうなずいた。

 上級生は熱い走りを、下級生は勢いある走りを見せた。1500メートル4位で0秒45差で表彰台を逃した及川瑠音(4年)はゴール直後、人目もはばからずに泣いて悔しがった。5000メートルでは緒方澪那斗、西村真周とルーキー2人そろって予選を通過。中1日の決勝では緒方が15位、西村が23位にとどまったが、序盤は積極的に先頭集団を走り、存在感を示した。

 昨年の関東インカレ大敗の理由として、コロナ禍の影響により、大学本部の指示でチーム練習がほとんどできなかったことが挙げられる。今年はコロナ禍での活動制限が緩和され、チームとして昨年より質量ともにはるかに上回る練習を積むことができた。

 昨季、学生3大駅伝初戦の出雲駅伝では3位と健闘したが、続く全日本大学駅伝は10位に終わり、シード権(8位以内)を逃した。そのため、今季、全日本大学駅伝は関東選考会(19日)から戦いが始まる。「全員でトップ通過を目指します。全日本大学駅伝本戦では優勝争いをしたい。関東インカレの結果でチームの士気は高まっています」と前田主将は堂々と話す。190センチの長身はさらに大きく見える。

 前田主将は箱根駅伝で1年8区6位、2年3区8位、3年9区5位。これまで異なる区間で安定した成績を残してきた。チームのために一選手として最終学年の大きな目標を明かす。「往路でも戦える準備をしています。復路なら9区で区間新記録を目指したい」。青学大の中村唯翔(4年)が今年1月にマークした1時間7分15秒の大記録を視野に入れていることを明かした。

 今年の第98回箱根駅伝で圧勝し、来年の第99回大会で連覇を狙う青学大の原晋監督は、前回4位の東洋大を最大限に警戒する。関東インカレで青学大などが出場した2部ハーフマラソンが終了後に行われた1部ハーフマラソンを原監督は熱心に視察していた。

 「駒大、順大は強い。国学院大、創価大、東京国際大、中大は勢いがある。でも、ライバルの中で、一番、怖いのは常にしぶとい走りをする東洋大ですよ」

 対抗1番手として青学大を追う東洋大。「箱根駅伝では総合優勝を狙います」と前田主将はチーム全員の思いを明かす。学生3大駅伝では15年の全日本大学駅伝以来、箱根駅伝では12年以来の優勝に向けて、東洋大のチーム力とムードは高まっている。(竹内 達朗)

 ◆関東学生陸上競技対校選手権(通称・関東インカレ)

 1919年に第1回大会が行われ、今年が第101回大会だった。1920年に始まり、今年が第98回大会だった箱根駅伝より長い歴史を持つ。今年は現国立競技場で初めて開催された。旧国立競技場で行われた13年以来、9年ぶりに「国立」で熱戦が繰り広げられた。

 例年5月に開催され、各種目1位8点、2位7点…8位1点が与えられ、対抗戦で総得点を競う。出場は各種目1校3人以内。男子は16校の1部、それ以外の2部、大学院生の3部に分けられる。1部の15、16位と2部の1、2位が翌年、入れ替わる。1部と2部は短距離種目などを含めた総合力で決まるため、今年の箱根優勝の青学大や同3位の駒大など長距離・駅伝をメインに強化している大学は2部に属する。今年の箱根出場21校は1部11校、2部9校。シード校に限ると1部4校、2部6校。長距離種目では1部と2部に大きな実力差はない。サッカーのJ1とJ2というよりも、プロ野球のセ・リーグとパ・リーグの関係に近い。

 安定したペースで進み、好記録が生まれやすい記録会と異なり、関東インカレでは激しい駆け引きがあり、ペースは乱高下する。「記録」より「順位」。「速さ」より「強さ」が求められる。

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