◆日本生命セ・パ交流戦 広島1―4オリックス(3日・マツダスタジアム)
伏見が不屈弾をぶっ放した。「人生であんな打撃をしたことがない。もう打てないと思います」。頭部負傷による離脱危機からわずか3日。1点を追う2回2死一塁で、大瀬良の内角シュートをたたいた。左翼ポール際へ、逆転の1号2ランをかけた。
5月31日のDeNA戦(横浜)で、嶺井の空振りしたバットが左側頭部に直撃した。「衝撃がすごすぎて、目を開けられない感じでした」。わずかな出血もあり、そのまま担架で病院へ搬送された。だが、脳しんとうなど後遺症の心配もなく、診断は頭部打撲。翌1日には練習参加し、みずから嶺井のもとへ歩み寄った。「大丈夫だよ、ということが言いたかった。わざとじゃないのは分かってたので」。たんこぶは残っているが「平気です」と2日からスタメン復帰した。
主砲の吉田正がコロナ感染、左太もも裏痛から約1か月ぶりに復帰した。4打数無安打だったが、戦う形が整った。杉本は15試合ぶりの4番に座って3打数2安打。2カード連続で初戦は4打数無安打に終わっていたが「探りはいらない」と指揮官の要望に応えた。
広島に18年から10連勝。今季最長タイの3連勝で、交流戦の勝敗を5勝5敗とした。前日にNPB通算200セーブを達成し、2連投だった平野佳がベンチ外。本田も3連投を避けたが、近藤が3年ぶりのセーブを記録した。5月23日以来の3位浮上。伏見の折れない闘争心が、昨季覇者を押し上げる。(長田 亨)