ジャンボ鶴田さん最強説より深い「プロレスファンは過去に生きる」というメッセージ

スポーツ報知
ジャンボ鶴田さんのライバルだったタイガー戸口(左)と藤波辰爾がリングで握手(後方は谷津嘉章)

 2000年5月13日に49歳の若さで亡くなった初代三冠ヘビー級王者のジャンボ鶴田さんをしのぶ「ジャンボ鶴田23回忌追善興行」(5月31日、後楽園ホール)は、超満員札止め1588人を酔わせた“神興行”だった。

 これまでは、全日本プロレスが、この時期の後楽園ホール大会で「ジャンボ鶴田メモリアルマッチ」を1試合組んで、最古参の渕正信(68)らが追悼してきたが、今回は23回忌として鶴田さんの師匠・ジャイアント馬場さんの親族のH.J.T.Production緒方公俊代表が、鶴田さんの遺族の協力を得て、団体の枠を超えたオールスター戦となった。

 鶴田さんとUN王座を争ったライバル、タイガー戸口(74)は引退試合(6人タッグ)を行い、戸口が藤波辰爾(68)、義足の谷津嘉章と組んで、渕正信、越中詩郎、井上雅央組に勝利。大仁田厚(64)はグレート小鹿(80)と組んでスペシャルストリートファイト・トルネードバンクハウス10人タッグハードコアマッチで盛り上げ、昭和、平成のレジェンドたちが元気な姿を見せた。

 メインイベントの歴代三冠ヘビー級チャンピオンプレミアム6人タッグマッチでは、現王者・宮原健斗(全日本)、鈴木みのる(鈴木軍)、秋山準(DDT)組とジェイク・リー、大森隆男、ジョー・ドーリングは、30分時間切れ引き分けの激闘を繰り広げ、セミファイナルでは、諏訪魔(全日本)と永田裕志(新日本)が越境タッグを結成したが、勝利後の仲間割れで、抗争へと発展させるなど、現在のファンを楽しませた。

 全試合終了後の追善セレモニーでは、天龍源一郎氏、ザ・グレート・カブキ氏、川田利明氏、田上明氏、小橋建太氏、渕正信がスピーチ。カブキ氏は「ジャンボ鶴田強かったですね…。試合も強かったし…いい選手でした」と言い、そして川田氏は「いまだに、自分の中では最強のプロレスラーはジャンボ鶴田です」と言い切って、鶴田さん最大のライバルだった天龍氏にマイクを渡した。天龍氏は「ジャンボ、日本のプロレスが発展するように天国で見守ってください。また、いつか会いましょう」と締めた。

 タイガー・ジェット・シンがビデオメッセージで「ジャイアント馬場とジャンボ鶴田をやっつけるために上田(馬之助)と殴り込んでやる」とプロレス流弔辞で盛り上げたが、私に最も響いた言葉は、姿を見せなかった鶴田夫人の保子さんが公式パンフレットに寄せた謝辞だった。

 「『プロレスファンは過去に生きる』と聞いたことがありますが、没後22年を迎えてもこの様な大会を催して頂けて、本人もさぞ喜んでいると思います。これからも心の片隅にジャンボ鶴田というレスラーが生き続ける事を願っております」

 プロレスが地上波ゴールデンタイムで放送されていた過去に熱狂したファンが、60周年を迎えた現在の後楽園ホールに戻ってきて、それぞれの年輪を重ねたからこそ奏でられる生きた拍手を送った。出場したレジェンドレスラーたちは、過去を拠り所とした今の生き様を見せていた。(酒井 隆之)

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