パラグアイで「朝の連続ドラマ小説」を見ながら晩ご飯を食べる 日本から最も遠い国にある日本文化

スポーツ報知
現地の子どもたちとサッカーに興じた筆者(中央)

【vol4.パラグアイ編】

 パラグアイ人は、とてものんびりしている。昼間から「あなた、お仕事は?」と突っ込んでまわりたくなるぐらいに、道ばたに座り込んでボーッとしながら、マテ茶をすすっている人たちが多い。

 南米の他国からは「田舎もの」と見下されている側面もあるという。世界遺産も1つしかなく、国際空港も首都・アスンシオンにあるこぢんまりとした空港の1つだけ。訪れる観光客はほとんどいない。

 そんな国と私は波長があった。当初3日ほどの滞在予定だったにも関わらず、合計3週間も滞在してしまったのだから、私も本来は「あなた、お仕事は?」と突っ込まれるような生活を送りたい願望があるのかもしれない。

 首都・アスンシオンから長距離バスで6時間ほど揺られた街・エンカルナシオンには、日系パラグアイ人の方々が住んでいる。

 彼らはおおらかで、とても優しい。日本から来たことを伝えるととても驚かれ、そしてこちらがとても驚くほどの「おもてなし」をしてくれた。日本食をごちそうになったり(美味しい日本料理屋がいくつかあります)、一緒に野球をしたり(元ヤクルトの岡林洋一投手はパラグアイの出身)、日本語学校を訪問させてもらったり(書き初めをやっているところを見学させていただきました)。アクセスなどを加味すると、日本から最も遠いと言われる国の田舎に、日本コミュニティーがあるのだ。

 彼らの街は、NHKをリアルタイム(日本タイム)で視聴できる。約13時間の時差があるので、彼らの多くは「朝の連続テレビ小説」を見ながら、晩ご飯を食べる。私が訪れた2014年は「花子とアン」が放送されていた。「(主演の)吉高由里子は本当に可愛いね」「日本でも大人気だよ」「会ったことあるの?」「俺の彼女だよ」「え?本当?」。そんな会話を、10歳ぐらいの小学生としたことを覚えている。

首都・アスンシオンではサッカーを観戦した。南米大陸のナンバーワンチームを決める「リベルタドーレス杯」(アジアでいうところのアジア・チャンピオンズリーグ)のナイターゲーム。パラグアイ随一の実力を誇る「ナシオナル」というチームの試合だ。

 試合開始2時間前に到着したが、スタジアムは真っ暗。日時か会場かを間違えたかと思い、こちらは真っ青になったが、キックオフ1時間半前になって、やっと明かりが灯された。本当に、のんびりしている。

 サッカーはパラグアイで最も人気のあるスポーツ。会場は満員となり、試合中に花火が打ち上がって紙吹雪が一斉に舞う演出もあった。ウルグアイのチームに勝利したこともあって、会場はお祭り騒ぎ。あちこちでビールが空を舞っていた。

 日系人だけでなくパラグアイ人の方々も、もの珍しい旅行客である私にとても優しく、親切だった。それは従来の国民性に加えて、現地の日系人の方々が築き上げてきた信用・信頼に対する「日本人にはリスペクトを」という概念があるからに違いない。

 日系人の中には、現地のパラグアイ人と結婚する人もいる。日系人の方々は当然スペイン語も話せるので、生まれた子どもはスペイン語を主要言語にして生活していくことになる。新たに移住する人もいないため、だんだんと日本語が話せる人の数が減っているという。コミュニティーの縮小は「必然」のことであるとはいえ、いろいろと考えさせられるものがあった。

 彼らとは、いまだにSNSを通じて交流が続いている。「日本に来たら案内するよ」という約束が果たせることを、心待ちにしている。

 ◆岡島 智哉(おかじま・ともや) 2016年、報知新聞社入社。これまで40か国ほどの渡航歴あり。横浜FM、鹿島、名古屋を担当し、今季は川崎担当。南米での国境越え移動は長距離バスが中心。バス会社間の競争が激しいため、その分内装や設備はとても充実している。切符購入で並んでいると、別会社のスタッフから何度も営業を受けてとても困る。ほとんどスペイン語は忘れてしまったが、数少ない覚えている単語の1つが「カマ」。意味は「180度までリクライニングできる座席」

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