昨年、約40年ぶりのアルバムを発売し復活したスウェーデンの世界的男女4人組グループ・ABBA(アバ)がこのほど、ロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内の特設会場で、メンバーのデジタルアバター(分身)によるコンサート「ABBAヴォヤージ」を行った。
最新のデジタル技術を駆使し、アバがステージに帰ってきた。実際にステージに立っているように見える4人のアバターが、10人編成の生バンドに合わせて、代表曲「ダンシング・クイーン」「マンマ・ミーア」「ギミー!ギミー!ギミー!」や、新アルバム「ヴォヤージ」からの新曲「ドント・シャット・ミー・ダウン」など全20曲を披露した。 アバターは、SF映画の巨匠ジョージ・ルーカス氏(78)が設立したインダストリアル・ライト&マジック社の精鋭850人が、当時の映像とモーションキャプチャー技術を駆使し、数か月間かけて制作。291台のスピーカーを設置し、500台以上のムービングライトが場内3万か所を照射するなど、最先端の照明・音響技術を用いて、臨場感たっぷりのステージを作り上げた。
MCまでもリアルに制作され、ベニー・アンダーソンのアバターは「生きるか、死ぬか、そんなことはもはや問題ではないのです」とあいさつ。「これは本当に私です。ただ歳(とし)の割に若く見えるだけですよ」と話し、笑いを誘った。ロンドン公演は1979年以来43年ぶり。約1時間半、ABBAの全盛期にタイムスリップしたと錯覚するほどの臨場感に約3000人の観客も熱狂した。
前日のオープニングナイトにはメンバーたちも4人そろって駆けつけ、約5年ぶりに公の場に登場。母国スウェーデンのカール16世グスタフ国王夫妻らVIPも多数来場した。コンサートは来年5月末まで1年間のロングランで開催される。主催者が“革命的コンサート”と自信を見せるステージは、新時代のショーとして注目を集めそうだ。
◆ABBA(アバ)ボーカルのアグネタ・フォルツコグ(72)、アンニ・フリード(76)と、ギターのビョルン・ウルヴァース(77)、ピアノのベニー・アンダーソン(75)の4人組で1972年から83年頃まで活動。グループ名はメンバーの頭文字から。69年にビョルンとアグネタが結婚(79年離婚)。78年にベニーとフリーダが結婚(81年離婚)。98年ヒット曲で構成されたミュージカル「マンマ・ミーア!」が世界的ヒットし、2008年メリル・ストリープ主演で映画化された。10年にロックの殿堂入り。