“痛み”がわかる男・吉川尚輝からかけられた、人柄の良さが凝縮された気遣いの言葉

スポーツ報知
大粒の汗を流しながら練習する吉川尚輝(カメラ・相川 和寛)

 カメラのファインダー越しに、一瞬目が合った気がした。試合中、しかもプレーの真っ最中なのに―。

 5月22日の阪神・巨人戦(甲子園)の6回、吉川尚輝(27)の放ったファウルボールが三塁カメラマン席で撮影している私のほうへ飛んできた。「直撃することはないだろう」と気にせずシャッターを押し続けたが、ふと、吉川の視線を感じた。そのわずか1秒後、「バゴッ」という鈍い音とともにボールが私のパソコンに直撃。液晶画面が破損して使用不能になってしまった。

 その3日後、東京ドームで吉川と話す機会があり、「実はさ…」とパソコンが壊れてしまった一件を報告。吉川は「ほんとですか。すみません」と、わざわざ帽子を取って謝罪してきた。私は謝ってもらうつもりなどなかったので、「パソコンにボールが直撃することなんてめったにないことだから、むしろ良いネタができて感謝してるよ」と笑って返したが、その直後の吉川の言葉に彼の人柄の良さを感じた。

 「いやぁ、本当に申し訳なかったです。そのファウルボールが体に当たって、けがとかしてないですか?」

 プロ野球選手にとって死球は付きものだ。特に打者は、けがをするリスクと常にとなり合わせで、吉川も5月4日の広島戦(マツダ)で死球を受けて肩甲骨を骨挫傷、2週間戦列を離れたばかりだ。昨年6月もオリックス戦(京セラドーム)で受けた死球で左手中指末節骨骨折と左手中指爪根を脱臼している。(私は両方の現場に居合わせていた)

 先ほどの言葉は吉川が何げない気持ちで言ったのかもしれない。しかし一歩間違えれば私も吉川と同じように“戦線離脱”していた。ボールが直撃する「痛み」を知っているからこそ自然と出てきた言葉であり、そこには相手のことを気遣える人柄の良さと魅力が凝縮されていた。(写真部・相川 和寛)

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