【番記者の視点】FC東京DF小川諒也が自身初の2得点「左で勝負したい」今季に懸ける覚悟

スポーツ報知
DF小川諒也

◆明治安田生命J1リーグ ▽第15節 FC東京3―0清水(25日、IAIスタジアム日本平)

 FC東京は、アウェーで清水を3―0で下し、4月29日のG大阪戦以来、5試合ぶりの勝利を飾った。DF小川諒也(25)が、プロ8シーズン目で自身初の2得点をマークした。

 この試合に懸ける思いが、背番号6の足を自然と前に運ばせた。前半45分、左サイドでボールを受けたDF小川は、すかさずゴール中央のFWディエゴオリベイラへ鋭いパス。そのまま足を止めることなくゴール前に入り込むと、最後はFW渡辺のシュートをGKがはじいたところを左足で押し込んだ。「自分の得点よりもチームの流れが良かった。本当にいい時間帯でしたし、すべてがうまくつながった得点だったと思います」。チームを勢いづかせる大事な先制点を奪った。

 さらに後半16分、左サイドで相手のパスが弱くなったところをスライディングでボールを奪取。1点目と同じように、ゴール前のFWディエゴオリベイラへパスを送ると、最後はMF安部のクロスを相手DFの頭上から豪快にヘッドで決めた。この試合までJ1通算2得点だった男が、プロ8シーズン目で初の1試合2ゴール。チームを3―0の快勝に導いた25歳は「ここ何試合かもやもやした試合が続いた中で、うまくはまった感じがありました。今日の試合みたいなのが自分たちが目指している所。これからもじれずに自分たちを信じてやりたい」と手応えをつかんだ。

 左足の正確なクロスと身体能力を武器にする大型の左サイドバック(SB)は、昨年3月の韓国戦で日本代表デビュー。国際Aマッチ5試合に出場した。日本代表の森保一監督(53)も「絶対的にポテンシャルを持っている。守備の強さもあるし、ヘディングも高い。攻撃力はもっと出せると思うし、もうひとつ上のステージ、ワンランク上の選手になってほしい」と期待を寄せている。

 だが昨夏に自身と同じ左SBを本職とする日本代表DF長友がFC東京に11年ぶり復帰。以降は利き足とは逆の右SBを任されることが多くなった。「右サイドもほとんどやったことがなかったので、新しい感覚ですごく楽しかったし、中にポジションを取るプレーが多くなった」と振り返るが、本領を発揮できていたとは言いがたかった。

 そんな中、迎えた今季。シーズンが始まる前に、スペイン人のアルベル監督(54)に直談判しに行った。「左で勝負させてください」。それは長友とのポジション争いに勝たなければ試合に出られないことを意味した。「目指しているのは日本代表。そこにいるのが長友選手。そこで勝たないと、いつまでたっても日本代表にはなれない。それに自分の強みはやっぱり左足のプレー。今年1年はすごく大事な年になると思っています」。決死の覚悟だった。

 その思いをくんだ指揮官も小川を左SBの軸に据え、両サイドできる長友を右に回すことを決断。試合によってパフォーマンスにムラがあるのは事実だが、正確な左足のフィードで攻撃の起点になるなど、チームの中心として12試合に出場。4試合勝ちがなしで迎えた清水戦で、チームを救う活躍をみせた。

 そんなJリーグを代表する左SBに成長した小川の下に、ポルトガル1部ギマラエスから獲得オファーが届いた。今季はリーグ6位で、来季は欧州カンファレンスリーグの予選2回戦にも出場する中堅クラブだ。清水戦後には「何も言えません」と話すにとどめたが、交渉は順調に進んでいるという。数年前から考えてきた、念願の海外移籍が近づいてきている。

 日本代表には昨年6月を最後に遠ざかっている。それでも11月に開幕するカタールW杯への道をあきらめたわけではない。「自分が代表に入ったときからW杯という目標は近くなりました。やっぱりより高いレベルの選手たちとやれるのは、自分にとってもプラスですし、やっていてすごく楽しい。もう一度、そこに戻りたいという思いは強くなりました。カタールW杯はぶれずに目指したいなと思います」。日本サッカー界が待望する大型の左SBが、いよいよ覚醒しようとしている。(FC東京担当・井上 信太郎)

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