順大の三浦龍司に挑んだ法大のガッツランナー松永伶…2001年箱根駅伝5区の大村一さんを思い出した

男子1部5000m、残り800mで抜け出す法大・松永怜(手前)
男子1部5000m、残り800mで抜け出す法大・松永怜(手前)

 関東の大学で陸上競技を志す学生アスリートにとって大舞台の関東学生対校選手権(通称・関東インカレ)が19~22日に東京・国立競技場で行われた。関東インカレは、関東学生陸上競技連盟の主催競技としては、今年が第98回大会だった箱根駅伝より歴史が古い伝統の大会だ。

 101回目を迎えた今大会で最も印象に残った選手は、法大の松永伶(3年)だった。

 最終日の男子1部5000メートル。最大の注目選手、かつ、優勝候補は東京五輪3000メートル障害で7位入賞を果たした順大の三浦龍司(3年)だった。実際、三浦はスタート直後から先頭に立ち、レースをリードした。

 レースが大きく動いたのは残り800メートル。松永が大胆なロングスパートを仕掛けた。

 三浦をはじめとした後続の選手はすぐに反応せず、残り500メートルでは約30メートルの大差がついた。トラックレースで日本人選手に無敵の三浦から松永が「大金星」を奪うのか。スタンドはどよめいた。そのスタンドで見守っていた法大の坪田智夫監督も「残り1周の時、松永が勝つか、と思いましたよ」と正直に話す。

 だが、やはり、三浦は強かった。4600メートルから4800メートルの200メートルを25秒台という異次元のスピードで突っ走り、残り250メートル地点で松永を一瞬のうちに抜き去った。終わってみれば三浦の圧勝だった。

 松永は残り200メートルでさらに4選手に抜かれ、6位。しかし、三浦に堂々と勝負を挑んだガッツあふれる走りは6位という結果以上のインパクトを残した。

 「残り2周の時、余裕がありました。何もしないより、勝負したかった。残り1周で思ったより、余力がありませんでした。三浦選手に抜かれた時、全くついていくことはできませんでした。でも、きょうのレースは自信になります。楽しかったです」

 レース後、松永は汗を吹き出しながら、充実した表情で話した。

 洗練されたフォームではないが、ガッツあふれる松永の走りを目の当たりにして、私は法大の大村一さんを思い出した。

 2001年箱根駅伝5区。大村さんは体が前に進まないほどの向かい風が吹く中、中大の藤原正和選手(現監督)、順大の奥田真一郎選手と歴史に残る激闘を演じた。実績で格上の2人に対し、大村さんは一歩も引かず、ひたすらに往路優勝を目指した。結局、往路優勝の中大、同2位の順大に続いて法大は3位だったが、大村さんの魂の走りは、見る者の心を奮わせた。暴風が吹き荒れる箱根山中の戦いは今でも語り草になっている。

 法大時代、大村さんの1学先輩だった坪田監督に大村さんと松永について話を聞いた。

 「確かに大村も松永もガッツがありますね」。坪田監督は楽しそうに笑いながら話した。その上で続けた。

 「大村もいい選手でしたけど、ランナーとしての能力は松永の方が上です。松永は専大松戸高2年の時、千葉県大会5000メートルで順大の石井一希君(当時八千代松陰高)、青学大の中村唯翔君(当時流通経大柏)、佐藤一世君(当時八千代松陰)に競り勝って優勝しているんですよ。1、年時は箱根駅伝を走っていませんが、松永には『(昨季までのエース)鎌田航生の後の2区は、お前だぞ』とはっぱをかけているんですよ」

 今年の箱根駅伝で法大は最終10区で東海大を逆転して10位。3年ぶりにシード権(10位以内)を獲得した。1区9位の内田隼太(4年)、3区11位の小泉樹(2年)、4区8位の河田太一平(4年)、6区2位の武田和馬(2年)、7区8位の中園慎太朗(4年)らが好走した。8区13位だった稲毛崇斗(3年)今回の関東学生対校ハーフマラソンで6位と健闘した。

 そして、今年の箱根駅伝では登録メンバー入りを逃した松永が一躍、花の2区候補として台頭した。

 「今回、結局、松永は、どうやっても三浦君に勝つことは出来ませんでしたが、残り800メートルではなく、残り600メートルか残り500メートルで仕掛けていれば2位になるチャンスはありました。でも、私は松永のチャレンジを高く評価しています。チームに勢いをつけてくれました」と坪田監督はうなずきながら話した。

 法大のガッツランナー松永伶。関東インカレに続き、箱根路でも大村一さんのような激走をすれば、法大はさらに面白くなる。(箱根駅伝担当・竹内 達朗)

 ※当初、松永伶選手の写真を誤って日体大・藤本珠輝選手を掲載してしまいました。関係者にお詫びした上で訂正します。

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