追悼ロジャー・エンジェルさん、101歳…MLB描き殿堂入りの名エッセースト

スポーツ報知
ロジャー・エンジェル氏の著書

 野球殿堂入りを果たしているベースボール・ライター、ロジャー・エンジェルさんが20日(日本時間21日)、うっ血性心不全で亡くなった。101歳だった。一野球ライター(実際は記者ではない)の死去に対し、ニューヨーク・タイムズを始め多くの米紙が大きく報じたという。それは、現代の野球が数字とお金にがんじがらめになっていることの裏返しとして、1960年代から80年代にかけての執筆で野球ファンを魅了してきた著者の名エッセーの数々が、思い出としてあるからかもしれない。

 エンジェルさんは1920年9月19日生まれ。「ニューヨーカー」誌編集者だった母、弁護士でありながらセミプロ野球の投手だった父に育てられ、野球への親しみは父からの影響だったという。1942年にハーバード大卒業後、第2次世界大戦中は空軍の雑誌編集者を務めた。その後、「ホリデイ」という雑誌を経て、母親に続いて「ニューヨーカー」に勤務。編集者の顔と共に、1962年から春のキャンプ、夏のペナントレース、、そしてワールドシリーズに合わせて記事を書くようになった。その文章は平易でありながら、野球への愛情を込めたもの。そして、人世の機微をも活写して読者から大いなる人気を博した。

 2014年には、長年の執筆活動を評価され、全米野球記者協会によるJ・G・スピンク賞(現在のキャリアエクセレンス賞=スピンク氏が差別主義者だったことで2021年から名称変更)受賞。全米野球記者協会会員以外で初めて選出された。

 1960~80年代の米大リーグが20球団から24球団で推移していた時期に書かれたものは、邦訳本を発売するたびに読ませていただき、1964、65年のマッシーこと村上雅則しか日本人選手がプレーしていなかった時代。メジャーおたくになるきっかけを作ってくれた本といえる。

 MLB公式ページの記事によれば、彼は1972年から91年の間に5つのアンソロジーを含む11冊の野球関係の本を出版。それらの本のうち、サマーゲーム(1972年)とレイトイニングス(1982年)はニューヨークタイムズのベストセラーリストに載った。1971年パイレーツのワールドシリーズ制覇の立役者で、今で言う“イップス”となったスティーブ・ブラス投手を描いた「終(つい)の別れ」。1968年防御率1・12でMVP&サイ・ヤング賞を受賞し、ワールドシリーズ通算7連勝したボブ・ギブソンを描いた「ゲームはボブ・ギブソンが握っている」は特に評価されたという。

 個人的にシーズン・チケットに収められている「殿堂にて」も心に残る。この一編が米ニューヨーク州クーパーズタウンのホール・オブ・フェイムへの憧憬(しょうけい)につながり、私自身も1999年と2006年に2度赴いたことがある。

 エンジェルさん、ありがとう、そして安らかにお休みください。

 蛭間 豊章(ベースボール・アナリスト)

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×