大荒れ夏場所で躍進 佐田の海は3歳で「力士」目指す…熱烈ツバメ党で夢は「神宮球場で始球式」

夏場所で敢闘賞を受賞した佐田の海
夏場所で敢闘賞を受賞した佐田の海

 大相撲夏場所は22日に千秋楽を迎え、横綱・照ノ富士(伊勢ケ浜)が3場所ぶり7度目の優勝で締め、番付最高位の責任を果たした。

 2日目に三役以上の全勝力士が消えるなど大混戦となった今場所を大いに盛り上げ、“救世主”の1人となったのが35歳の平幕・佐田の海(境川)だった。父は元小結・佐田の海。今場所は自己新11勝を挙げ、史上初となる新入幕親子三賞となった14年夏場所以来、8年ぶりの敢闘賞にも輝いた。

 自身を「地味なので」と語る謙虚なベテランは、3歳の時にはすでに力士を志していた。父が現役引退後に出羽海部屋付きの親方をしていた関係で、幼い頃から相撲が身近にあった。佐田の海少年の楽しみは千秋楽パーティー。当時は部屋で開催され、当日は一目散に2階の若い衆の元へ行っては、かわいがってもらっていたという。

 幼少期から力士を志しながら、本格的に相撲を始めたのは中学卒業後に入門してから。「相撲はまだやらなくていいから、何でもいろんなことをやりなさい」という父の方針もあり、小学校ではサッカー部に所属。ゴールキーパーで、墨田区の選抜チームにも選ばれる実力者だった。中学では野球部に所属したが、やはり卒業後は角界入りへ。父から「男を磨くならここだぞ」と勧められた境川部屋に入門し、鍛錬を重ねた。

 そんな佐田の海の趣味は野球観戦で、ヤクルトスワローズの大ファン。好きなユーチューブチャンネルは元ヤクルトの古田敦也氏の「フルタの方程式」だ。角界入り後も足しげく球場に通っており、一人で観戦に行くことも。熱烈なツバメ党にとっては「神宮球場で始球式」することが、いつかはかなえたい夢の一つだ。

 熊本に帰省したときには「九割九分一緒にいる」という大親友・津野田聡さんによれば、佐田の海は「長電話大王」で、毎回1時間半ほどたわいもない話で盛り上がる。昨年、ヤクルトが制した日本シリーズは九州場所中ながら、電話をつないでテレビ観戦。「デッドボールがあったときは、互いに本気で文句を言い合ってます」と笑いながら様子を明かした。津野田さんの息子によると、佐田の海はモバイルゲーム「プロ野球スピリッツA」の腕前が“横綱級”の強さだという。

 初の優勝争いを演じ、激動の15日間を戦い抜いた22日の千秋楽。結びで照ノ富士が勝利し、V逸が決まった約10分後に行われたリモート取材で、佐田の海は「今場所みたいな相撲が取れれば、まだまだ行けると思いますし、今が一番、力が出ていると思います」と表情は明るかった。

 場所後にしたいことを聞くと、「もう明日から体の手入れをして、週の中ぐらいからトレーニングを始めて来場所に向けてやっていきたいと思いますよ」。どんな成績でも一喜一憂せず、黙々と精進する姿勢が、いぶし銀の強さの秘けつかもしれない。(記者コラム・竹内 夏紀)

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