【番記者の視点】浦和戦ドローを支えた鹿島DF常本佳吾の守備力 サイドバック王国にまた1人

スポーツ報知
鹿島・常本

◆明治安田生命J1リーグ▽第14節 浦和1―1鹿島(21日・埼玉スタジアム)

 試合後のコメントを聞いても、受け止め方が難しい試合だったことが伝わる。鹿島のレネ・バイラー監督は「後半の最後、浦和さんにも3分で2回のビッグチャンスがあった。そういう意味ではお互いにとって良い勝ち点1になったのではないかと思います」と肯定的だったが、関川郁万は負けなかったことを「収穫」としつつも「優勝するチームはこういう試合をものにする」と付け加えた。

 前半6分に先制したが、前半終了間際にVAR判定でDF関川郁万のハンドを取られ、PKから追いつかれた。チャンスの回数で言えば鹿島に軍配が上がるが、質では終盤の浦和が勝る。前半を見れば勝ちきれなかった試合。ロスタイムを切り取れば、負けなくて良かったアウェー戦。こういう試合は「生かすも殺すも今後次第」と保留することが多いが、明確に言えることもあった。

 右サイドバックの常本佳吾の守備である。これまでも目を引いたが、カウンターの応酬となった浦和戦では際立った。前半4分のカバリングから始まり、20分のつぶす判断。ワイドに張る浦和の関根、中途半端なポジションを取る江坂を視界に入れながら中央の守備にも顔を出した。体を入れて、ピンチの芽をつぶすこと3度。ボールとは関係ない場面で、誰よりも体の向きを入れ替えながら備えている。「負けなかった」確かな由来がここにあった。

 明大時代は、主に3バックの中央を任されていた。だが、174センチと上背がないため、プロ入り時にサイドバックとして生きていくことを決めた。オファーした椎本邦一スカウトは「大学時代から本当に守備力のある選手だと感じていた。その守備を期待して声をかけさせてもらった」と明かす。攻撃的な選手、もしくは技術の高い選手が注目されやすいスカウト戦線で「1対1が強く、体も強い。そして運動量もある」と視線を釘付けにされたという。下部組織時代を過ごした横浜FMと競合したが、常本は鹿島を選んだ。そして、見立て通り1年目の昨季から主力の一角を担っている。

 浦和戦後、常本は取材対応リストから漏れたため、言葉はないが、プレーから気持ちの強さを感じ選手。きっと勝てなかったことを悔やんでいるような気がしてならない。「本人も取り組んでいるように、課題は攻撃面。そこが成長してくれば、日本代表も見えてくると思う」と椎本スカウト。相馬直樹、新井場徹、名良橋晃、内田篤人と名サイドバックを輩出してきた鹿島から、今度は屈強な「矢」が放たれようとしている。(鹿島担当・内田知宏)

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