川内優輝の盟友の埼玉大34歳オールドルーキー牧野冴希が関東インカレデビュー 勉強を最優先に最高齢の箱根駅伝出場目指す

スポーツ報知
ハーフマラソン、埼玉大の牧野冴希(カメラ・今成 良輔)

◆陸上 関東学生対校選手権 最終日(22日、東京・国立競技場)

 男子2部ハーフマラソンが国立競技場発着の明治神宮外苑公認コースで行われ、国学院大の伊地知賢造(3年)が1時間2分50秒で優勝した。駒大の花尾恭輔(3年)が1時間2分56秒で2年連続2位。昨年優勝した青学大の西久保遼(4年)が1時間3分1秒で3位だった。

 埼玉大の34歳のオールドルーキーの牧野冴希は1時間9分40秒、54位で完走した。

 牧野は埼玉・浦和実高時代はエース兼主将として活躍。卒業後、指定校推薦で駒大に入学。陸上競技部に入部したが、2年夏に退部し、その後、市民ランナーとして走り続けた。駒大を卒業し、一般企業に就職した後も実力を伸ばし、フルマラソンの自己ベスト記録は2時間14分36秒と市民ランナーとしてはトップレベルの実力を持つ。長く市民ランナーとして活躍して19年からプロランナーとなった川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)は練習パートーナーとして切磋琢磨(せっさたくま)した盟友だ。

 今春、埼玉大の経済学部(夜間主コース)に社会人選抜で合格して34歳にして2度目の大学生となった。「駒大では文学部を卒業しました。今の会社の仕事に生かすため、もう一度、大学で経済を学びたいと思いました。仕事と勉強が最優先です」と牧野は話す。

 平日、午前8時から午後5時までフルタイムで働き、午後6時から午後10時まで埼玉大で学ぶ。平日は早朝に練習し、土日にまとまった練習を積んでいる。「埼玉大に入学したのはあくまで勉強をしたいからです。でも、やはり、若い頃、学生陸上に未練があったので陸上部に入れさせていただきました」と話す。

 その上で熱い思いを静かに話した。

 「もし、チャンスがあれば、箱根駅伝出場を目指したいと思っています」

 ただ、ハードルは高い。箱根駅伝予選会で敗退した大学の選手で構成され、箱根駅伝本戦にオープン参加する関東学生連合は、予選会の個人ハーフマラソンの成績をもとに選抜される。予選会に参加するためには1万メートル34分以内の公認記録を持つ選手が10人以上そろえなければいけないが、埼玉大は昨年、条件を満たせず、出場できなかった。この日、箱根駅伝優勝の青学大や同3位の駒大などの選手たちと同じレースを走る牧野を埼玉大のチームメートは拍手で懸命に応援を続けた。「チームメートみんなで強くなれればいいですね」と牧野は穏やかな表情で話した。

 仕事と学業。そして、ランニング。充実の忙しい日々を送る牧野は、ひとつだけ悩みを抱えている。

 20年9月、札幌市内の自転車道で行われた市民マラソン大会で、牧野は事故の当事者となった。規制線などがなくだれでも立ち入れる状況だったコース内で、レース出場中の牧野と散歩していた女性が接触。牧野はすぐにレースを中断し、大会スタッフよりも迅速に、沿道にいた人から携帯電話を借りて救急車を呼ぶなど誠実に対応したが、女性がケガをしたことで、一部のネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けた。「また、批判されることもあるかもしれませんが、乗り越えたい」と静かに話した。

 この日は奮わなかったが、今年の2月にハーフマラソンで1時間3分14秒の自己ベストをマークするなど34歳にして、いまだに成長中。関東学生連合メンバー入りを狙える力を十分に持つ。

 箱根駅伝は1992年まで27歳以下の年齢制限があり、1987年に28歳だった駒大4年の大八木弘明(現監督)は出場できなかったが、戦前や現在は年齢制限がない。今年、駿河台大4年の今井隆生が31歳124日で4区に出場(区間20位)。1939年に33歳131日で5区を走り、区間賞に輝いた村社講平(中大)が最高齢出場とされている。

 牧野が夢の箱根駅伝出場を果たせば、歴史に残る史上最高齢となる。34歳。超オールドルーキーの超絶な挑戦が始まった。

 ◆牧野 冴希(まきの・さえき)1987年10月12日、埼玉・川口市生まれ。川口市立岸川中、浦和実高を経て駒大に入学。陸上に入部するが、2年時の夏に退部。2000年に卒業し、一般企業に勤務しながら、市民ランナーとして走り続け、市民ランナー界では有名なトップレベルの選手に成長。自己ベストは5000メートル14分25秒、1万メートル29分53秒。ハーフマラソン1時間3分14秒。

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