【番記者の視点】浦和サポーター、試合前は掟破りの声出し応援…ドロー後の大拍手に見た「あるべき姿」

スポーツ報知
イレブンに拍手を送る浦和サポーター(カメラ・宮崎 亮太)

 ◆明治安田生命J1リーグ▽第14節 浦和1―1鹿島(21日・埼玉スタジアム、3万7144人) 点【浦】ショルツ【鹿】アルトゥールカイキ

 キックオフの約1時間半前。いつものように埼玉スタジアムへ歩いて向かっていると、いつものよう…ではない光景が広がっていた。

 スタジアム正面入口付近に、浦和サポーター数百人が集結。まず聞こえたのは、鹿島のチームバスへの大ブーイングだった。その後、浦和のチームバスが到着するタイミングに合わせて旗を振り、大声を出し始め、約15分ほど応援歌を大合唱。中にはマスクを外して叫ぶファンもいた。Jリーグの新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインで認められていない行為で、事前に声を出さないことを条件に応援を許可していたクラブ側はサポーターに厳重注意。ここで一連の経過に対しての是非を問うことはしないが、物々しい雰囲気に包まれて鹿島戦が始まった。

 キックオフ前には、クラブ設立30周年を祝う鮮やかなコレオグラフィー(人文字)でゴール裏が彩られ、一体感を感じた。試合は開始6分で先制点を献上。ショルツのPKで追いついたが、後半25分にFKからDF明本考浩が頭でゴールネットを揺らすも直前に味方のファウルで“幻”に。逆転への期待、前節まで6試合連続で引き分けたフラストレーションも相まってか、大声で声援を送るファンも多く見受けられた。

 後半47分にはFW松尾佑介がタッチライン際までボールを追いかけて決定機。同50分にはMF岩尾憲のシュートがバーにはじかれた。J1最長タイの7戦連続ドロー。リーグ戦は2か月以上も白星がないが、後半に3点差を追いついた18日の前節・横浜FM戦(3△3)と同様に最後まで戦い、ゴールを狙う姿勢は見せた。試合後、スタジアムを一周する選手らに対し、サポーターから大拍手が鳴りやまなかった。これが「あるべき姿」だと感じた。

 横浜FM戦でJリーグ史上初めてホーム入場者数が通算1500万人を突破した。2位の横浜FMに450万人以上多い、ダントツの数字だ。リカルド・ロドリゲス監督も「浦和レッズのサポーターはチームに勝ち点をもたらす存在だ。横浜FW戦も彼らの情熱が価値ある勝ち点につながった」と感謝を口にする。4月に声出し応援が許可されたタイ・ブリラムで行われたACLで、豪雨に見舞われてもピッチに響きわたる大声援を送ったサポーターの姿は忘れられない。

 だからこそ、この日の試合前の行為には疑問符が残る。Jリーグのガイドラインでは、スタジアム外であっても「大声での発声、歌唱や声援、密集等の感染リスクのある行動を回避してください」と明記されている。Jリーグが声出し応援の解禁を6月から段階的に進める方針を掲げる中、水を差してしまいかねない行動だった。

 GK西川周作はACLの際に「浦和のファン・サポーターの声がどれだけの力をチームに与えてくれるか。知ってる選手は数名しかいないけど、非常に心強く思う」と言った。声出し応援の解禁は1年も2年も先ではなく、8月中には希望するクラブ全てが声出し応援エリアを導入できるよう進める方針だ。ルールを守った応援を続けたその先に、勝利の凱歌「We are Diamonds」の大合唱を聴けるのを待ちたい。
(星野 浩司)

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