【森永卓郎の本音】いまこそ為替介入を

スポーツ報知
森永卓郎氏

 4月の消費者物価指数の上昇率(生鮮食品を除く)が2・1%と、13年ぶりの高い伸びとなった。原因は〈1〉円安、〈2〉エネルギー価格の上昇、〈3〉昨年春の携帯料金引き下げ効果の剥落(はくらく)の3つだ。景気改善で需給がひっ迫しての物価上昇ではないから、賃金は物価に追い付かない。そのためエコノミストは「悪い物価上昇」ということで見方を揃(そろ)えている。

 エネルギー価格をコントロールすることはできないし、携帯電話料金の再引き下げも困難だから、悪い物価上昇を抑える手段は、円安是正以外にない。岸田総理自身も円安について、「急速な変化はどういった立場でも好ましくはない」と為替の安定が重要との認識を示している。

 そうであれば、いまやるべき対策は円安防止のための為替介入だけだろう。幸いなことに、我が国は1兆ドルもの外国証券を外貨準備として保有している。その大部分が、米国債とみられる。それだけの資金があれば、円安是正を図ることは十分可能だ。

 また、外貨準備は円がまだ高いころに取得したものだから、全部売却すれば、少なくとも20兆円以上の為替差益が転がり込んでくる。それを物価高騰対策、例えば消費税の時限的引き下げに振り向ければ、有効な景気対策に。消費税率を8%に戻すだけなら、5年間程度の引き下げ財源は、この為替差益だけで賄うことができるのだ。

 この一石二鳥の政策を岸田政権が採らない理由は、アメリカの顔色をうかがっているからだろう。ただ、ドルが暴落の危機にさらされているわけではないから、いまは最も売りやすいタイミングだ。また、通貨の管理は、国家の最大の経済主権だ。必要なときに為替の介入ができないのであれば、日本はもはや独立国とは言えないだろう。(経済アナリスト・森永卓郎)

社会

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請