飯伏幸太よ、ファンの悲鳴が聞こえるか…不惑迎えた「ゴールデンスター」の退団匂わせツイートに感じる疑問

スポーツ報知
2018年2月、70分間に及んだインタビューで「新日本プロレスでプロレスの歴史を変える」と言い切った飯伏幸太

 長年、そのファイトを追い続けてきた一人の記者として、いや、一人のプロレスファンとして、もう我慢できない。だから、この場を借りて言う。「飯伏幸太よ。これ以上、ファンを不安にさせないでくれ!」―。

 負傷のため長期欠場中の新日本プロレスの「ゴールデンスター」飯伏幸太が40歳の誕生日を迎えた21日、自身のツイッターを更新。「今までありがとう! 40歳最高の節目になりました。では」とつづった。

 このつぶやきにファンからは「今までもこれからも変わらず、飯伏さんの歩まれる道をずっと応援しています」、「これから歩まれる先にもどうか光がありますように」などの激励の声がある一方、「ありがとうって?」、「ではって、どういうこと?」などの戸惑いの声も多く集まった。

 そう、昨年4月にウィル・オスプレイ(29)に敗れるまでIWGP世界ヘビー級王者として今年創設50周年を迎えた老舗・新日のトップに君臨していた日本プロレス界有数のスターは、この1か月に渡ってSNS上で大迷走。多くのファンを戸惑わせ続けている。

 今月1日、「突然の新日との契約終わろうか」などと、新日幹部と見られる相手に投げかけられた言葉を暴露。一部レスラーの名前をあげ、新日幹部とのやり取りと見られるLINEのスクリーンショットを添付する行動にフォロワーから「ひとつだけ質問です。今はプロレス好きですか?」という声があがると、「プロレスラーになってからは仕事ですので…。期待に応えられずすみません。ごめんなさい」と謝罪。

 「あの強く華麗でカッコ良くぶっ飛んでる飯伏さんのプロレスはもう観れないんでしょうか…」という声には「みれないでしょう。すみません」と、まるで引退を決意したかのような答えを返した。

 さらには「これでクビ」などと新日からの解雇も示唆。プロレス界の裏側まで暴露するかのような内容にフォロワーから「裏側知りたくない人もいるのよぉ…。ファンの夢を壊さないであげて」という真剣そのものの書き込みがされると「ごめんなさい。配慮が足りなすぎましたが、これでクビですので最後くらいはワガママを言わしてください。賭けるものが大きすぎますので。失礼承知で書かせていただいてます。不愉快な思い申し訳ありません」と謝罪する一幕もあった。

 一連の言動の背景に7か月間に渡って、大好きなリングに上がれない焦りがあるのは間違いない。

 飯伏は昨年10月の「G1クライマックス31」優勝決定戦のオカダ・カズチカ(34)との戦いでコーナートップからの大技・フェニックス・スプラッシュを仕掛けたもののオカダにかわされ、肩と顔面をリングに強打。無念のレフェリーストップ負けを喫した。右肩関節前方脱臼骨折及び関節唇損の重傷と診断され、リハビリを続けてきた。

 いったんは3月1日に開催された新日50周年の「旗揚げ記念日大会」での復帰と春の最強シングル決定トーナメント「ニュージャパンカップ」(NJC)出場が発表されたが、新日は「直前の検査結果を踏まえ協議を重ねた結果、NJCを戦い抜くコンディションには至っていないと判断を致しました。今回、この判断を飯伏選手に伝え、復帰に関しては延期するという結論になりました」と発表。

 飯伏もこの発表を受け、ツイッターで「皆さんすみません。本当に申し訳なく思います」と謝罪。以後、リハビリに励んできた。

 リング復帰も間近かと思われた中でのSNS上での“暴走”。ファンからの「飯伏選手! プロレスをする事を諦めないで下さい! あなたのプロレスが大好きです! ファンはみんな待ってますよ」などの悲痛な声が集まっている中で迎えた40歳バースデーの「今までありがとう!」という惜別の言葉にも受け取れる書き込みに私も心底、驚かされた。

 もちろん、飯伏、新日双方の声を聞きたいと取材依頼を続けてきた。真相を知りたいという思いのもと新日に送った「飯伏さん、団体責任者双方のお考えを聞きたい」という取材依頼には、ただ「現時点でお答えできることはございません」という答えだけが返ってきた。伝わってきたのは、飯伏の一方的にも見える攻撃的なツイートに戸惑いを隠せない新日の現状。それでも、トップ選手の誰でも閲覧できるツイッターでの悲鳴にも聞こえる一方的な発信をここまで放置し続けることには疑問が残る。

 そんな八方ふさがりな現状の中だからこそ、こうした形で飯伏に呼びかけるしかない。「なんとか、自分の生の声で不安なファンに答えてくれ」と―。

 今回の騒動でもよく分かる子供っぽさも残す純粋そのものの男・飯伏に初めて1対1でインタビューしたのは4年前のことだった。

 2018年2月9日、出演するミュージックビデオの撮影直前というハードスケジュールの中、真っ白のベンツクーペで都内のスタジオに現れた飯伏は70分間に及んだロングインタビューの中でこう言った。

 「一番見ている人が多い舞台が新日本プロレス。だから、新日を選んだし、プロレスの歴史を変えたいと思ってます。絶対に変えられるって自信があるんで」―。

 その言葉通り、短期間で飯伏は結果を出して見せた。19、20年と2年連続で最強シングル決定戦「G1クライマックス」を制し、自身の希望を通す形でIWGPヘビーとインターコンチネンタル2つのベルトを統合したIWGP世界ヘビー級の初代王者ともなった。

 この6年間、その歩みを見届けてきた私には日本最強、最大団体での飯伏の歩みが本当にまぶしかった。「飯伏がいれば、プロレス界は安泰」と言った棚橋弘至(45)や「飯伏は今までいなかった、ちょっと特別な存在」と言う中邑真輔(42)の言葉が、そのまま証明されていく日々が本当にうれしかった。

 だが、今、迷走しているかに見える飯伏は、自らの手で日本プロレス界最高の舞台・新日を手放そうとしているかに見える。

 確かに、4年前のインタビューでも「小学校を卒業する頃には今やっている技は全部できました」と明かした抜群の身体能力とキックボクシングでもトップに立った打撃力を兼ね備えたハイブリッドレスラーの未来は新日を離れたとしても前途洋々だろう。

 DDT時代からの盟友・ケニー・オメガ(38)が在籍する米トップ団体・AEW(オール・エリート・レスリング)や過去に年俸1億円で誘われたこともあるWWE、国内でも恩人・高木三四郎社長(52)率いるサイバーファイトなど、受け皿は複数あるのではないか。

 それでも、私は団体の歴史、規模、選手層の厚さ、スタッフの熱意。すべての面から新日こそが飯伏が40歳からのレスラーとしての円熟期を過ごすのにふさわしい団体と思っている。

 だからこそ、SNSを使って一方的な言葉を放ったことを、その手法を反省し、肉声で本音を明かした上で、どこから見ても自身を一段グレードの高いレスラーに成長させてくれた舞台・新日との和解の道を探ってほしい。この「報知WEB」を、その言葉を届ける窓口にしてくれても構わない。

 とにかく、このままではいけない。なぜなら、あなたはいつも勝利後のリング上で「僕は逃げない、負けない、諦めない、そして裏切らない!」と叫び続けてきたではないか。ファンはこの7か月間、笑顔での「ゴールデンスター」のリング帰還をじっと待ち望んできた。私だってそうだ。

 飯伏さん、今のあなたは完全にそんな思いの数々を裏切っている。
(記者コラム・中村 健吾)

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