世界各地でボールを蹴る1年間のバックパッカー生活を経て入社したサッカー担当・岡島智哉記者の紀行コラム。ドミニカ共和国では野犬に追いかけられ、ブラジルではお金を盗まれ、イタリアでは腹パンチに悶絶し、パラグアイでは金欠で野宿生活…。それでもサッカー愛だけをエネルギーとし、各国を転々としてきた記者による紀行コラムです。随時更新。

マレーシアで感じた「本来あるべき姿のスタジアム」サッカーに声援は欠かせない

会場に集まったJDTのサポーター
会場に集まったJDTのサポーター

【vol3.マレーシア編】

 結論を先に書く。サッカースタジアムに、声援は欠かせない。

 約2年半ぶりの海外出張で、4月下旬から5月上旬にかけて11日間、マレーシアに滞在した。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の1次リーグが同地で集中開催されたためで、担当する川崎フロンターレの取材で現地に飛んだ。

 マレーシアは、マスク着用という条件付きで、声出しの応援が認められている。

 4月24日、川崎は地元のジョホールバルに本拠地を置くJDTと対戦した。JDTはマレーシア随一の人気を誇るクラブで、南米風な応援は東南アジア屈指の熱量を誇る。

 8年前に2回ほど、プライベートでJDTの試合を観戦したことがあった。当時も熱狂的応援は相当なもので、立ち見席も人だかりでいっぱい。コンコースの手すりによじ登って試合を観戦している人もいた。とにかく「熱い」クラブなのだ。

声出し応援をリードするJDTのコールリーダー
声出し応援をリードするJDTのコールリーダー

 この日も日曜日の午後10時キックオフという集客に不向きな条件下の中、会場には約1万6679人が集まった。

 約2年ぶりに味わう「声出しOK」のスタジアムは身が震えた。

 試合前の段階で、ボルテージは最高潮に達していた。味方選手を後押しする声とリズム。相手選手をひるませると勢いと圧。キックオフ後もチャンスになれば、その迫力はさらに増す。単純に、羨ましく映った。

会場に集まったJDTのサポーターたち
会場に集まったJDTのサポーターたち

 「マスク着用での発声の現実性」について取材するため、何人かの現地サポーターを取材させて頂いた。その中の一人の言葉が印象に残っている。

 「日本は声を出しちゃダメなの?それは驚きだ。東南アジアは全ての国でOKだよ。欧州もアメリカもOKだし、南米もアフリカも多分OKだし…日本はなぜ?(ゼロコロナ政策の)中国と同じ考え方なの?」

 発声の禁じられた日本のサッカースタジアムは、世界的に見れば明らかに“異端”である。とてもじゃないが“最新鋭”には見えないし、“置いてけぼり”状態にあるように感じる。「〇〇サポがルールを守っていない」「〇〇サポがブーイングをしていた許せない」「うちばかり叩かれるけど、〇〇サポもこんなことしていました!」…そんなSNSで毎節繰り広げられる罵り合いにも辟易してきた。

声援を送る川崎サポーター
声援を送る川崎サポーター

 Jリーグは17日、声出し応援の段階的導入を決定した。6月上旬~7月に数試合で運営検証を行い、8月中には希望するクラブ全てが声出し応援エリアを導入できるよう進める。

 声出し応援エリアの導入に伴って収容客数を削減する必要があるなど、運営上の制約はあるが、大きな一歩には違いない。ようやく、前進の兆しが見えた。

 プロスポーツに声援は欠かせない。声援があるだけで、スタジアムの雰囲気は一気に熱を帯びる。いろいろな決定権がある「偉い人」には、引き続き、本来のスタジアムの姿を取り戻す努力を進めてほしい。
(岡島 智哉)

 ◆岡島 智哉(おかじま・ともや) 2016年、報知新聞社入社。これまで40か国ほどの渡航歴あり。横浜FM、鹿島、名古屋を担当し、今季は川崎担当。マレーシア・ジョホールバルは大半の人が英語に堪能。現地の人に「なぜですか?」と聞くと「学校で必修科目なので。教育の力ですかね」とのこと。その時は納得したものの、よくよく考えれば我が国も「学校で必修科目」だったような…。

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声出し応援をリードするJDTのコールリーダー
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