【番記者の視点】浦和、逆襲呼んだシンプルな“裏抜け一発・ユンカー” 3点差追いつき劇的ドロー

スポーツ報知
浦和のFWキャスパー・ユンカー

◆明治安田生命J1リーグ▽第11節 浦和3―3横浜FM(18日・埼玉スタジアム) 点【浦】ユンカー3【M】水沼、アンデルソンロペス、宮市

 30分間で立て続けに3発を食らった前半が終わった時、正直、勝負は決まったかと思った。横浜FMの強力なプレッシングやサイド攻撃に苦しみながら、前半途中に左MFの関根貴大を左ウィングバックに据えて5―3―2にシステムを変えて対応。リカルド・ロドリゲス監督はハーフタイムのロッカールームで「勇敢にやり続ける、前から出て行くこと」と、0―3の崖っぷちからの逆襲へハッパをかけた。

 メンバー交代はなかったが、選手のプレーは吹っ切れたように一変した。指揮官が「リスクを冒して前から行った」と言うように、後半開始20秒で関根が球際で激しいスライディングで寄せたのを皮切りに、前線から相手ボールを狩りに行った。さらに、カギになったのは、3点リードしながらも相手DFの背後に空いた広大なスペースを突くシンプルなロングパス。FWユンカーは「どのチームもどこかにスペースを空けるもの。後半はマリノスの弱点を利用することができた」。何度も最前線で手をあげてボールを呼び、何度も裏へ走った。

 後半2分、DF岩波拓也のロングパスに快足で走り込み、ゴール右隅へ1点目。同36分にはMF岩尾憲のロングパスをFW松尾佑介のフリックに抜け出し、ゴール左上へ沈めた。“裏抜け・一発”は、チーム屈指のスピードを誇る助っ人ストライカーの真骨頂。試合前にジョアン・ミレッGKコーチから特長を聞いた相手GK高丘陽平の動きを見極め、左足で連続ゴールを決めた。

 さらに、同44分には左サイドをドリブルで切り裂いたMF大久保智明のパスをユンカーが決め、ハットトリック。起死回生の同点弾が生まれたのも、その1分前に松尾が激しいプレスで相手に蹴らせたパスを岩尾が奪った流れのスローインから。ユンカーは「全員が100%のプレスをかけ続けて、絶対に勝ちたいという気持ちを見せなければいけない。前半はそれが不十分だったが、後半は開始から最後まで『浦和はこうあるべきだ』という姿を全員で見せられた」と言い切った。

 最後方からパスをつないでビルドアップして相手ゴールに迫るのが、いつものリカルド流。だが、この日の後半はボール奪われてカウンターを食らうリスク覚悟でロングパスで攻撃を仕掛け、3点を奪いきった。GK西川周作も後半38分、40分と相手DFラインを切り裂くロングフィード攻勢。後半に前線へロングパスは約10本あり、ユンカーを狙ったパスは4本。うち1本はエリア内で倒されながらもPKを得られなかったが、2本を決めきった。

 試合後、緻密な戦術について記者から問われたロドリゲス監督は「私の戦術が複雑なところがあるかもしれない。今日のように簡単にプレーすることで生まれる得点ももちろんあると思うし、その中で3点取れた」と認めつつ、「ただ、やってきたこと、積み重ねもある」とも言った。

 3点差を追いつく同点劇に、試合後はサポ―ターからスタンディングオベーションの嵐。だが、この日でクラブ最長の6戦連続ドローとなった。2か月以上リーグ戦で白星がつかめない中、シンプルで割り切った攻撃で得た3得点。指揮官は、自身やチームのコンセプト、追い求める結果をてんびんにかけながら、21日にホームで2位・鹿島戦に挑む。(浦和担当・星野浩司)

サッカー

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×