【番記者の視点】2ゴールで復権へ狼煙 鹿島の主将・土居聖真から聞いた「やるしかない」の行方

スポーツ報知
5月18日のG大阪戦で後半13分、ゴールを決めた鹿島・土居聖真(カメラ・馬場 秀則)

◆ルヴァン杯1次リーグA組 ▽第6節 G大阪1―3鹿島(19日・カシマスタジアム)

 待ち望んでいた。アウェーG大阪戦で土居聖真(しょうま)が今季初得点を含む2得点を挙げ、勝利と1次リーグ首位突破に貢献した。後半13分、敵陣深く切り込んだDF安西幸輝からパスを左足で押し込み、同35分には相手のパスミスを拾って仕留めた。チームはすでに1次リーグ突破を決め、消化試合となった一戦。先発を入れ替えたメンバーに土居も加わった。主将を務め、実力者でもあるが、序列を打破しなければいけない立場でピッチに立ち、結果につなげた。

 2得点を「続けてやってきて良かったな。どこかで(気持ちが)折れちゃったら今日も結果が出なかったと思う」としみじみと振り返り、「今後もまた結果を残し続けるために、(報道陣の)皆さんからも頑張っていると思われるような姿勢、プレーを自分が成長するために、チームに貢献するために、やり続けたい」と言った。会心の表情とまではいかないが、手繰り寄せた結果に安堵しているようだった。

 鹿島は今季レネ・バイラー監督が就任し、縦に速いサッカーを目指している。運動量と絶え間ないスプリントが求められる中、ボールタッチと位置取りで地位を確立してきた土居は、適応に時間がかかっている。コロナ禍で遅れて合流したバイラー監督が指揮を執ってから、リーグ戦で先発起用されたのは最初の1試合だけ。苦境に直面したばかりの4月10日、横浜FM戦後のやり取りが印象に残る。

―今まで鹿島でやってきたサッカーとは違う。

「違う」

―テンポ、見る、走るところも違う。

「違う」

―適応できるか。

「これまでやってきたこととは違うけど、やるしかない。監督がこれをやる、と言っていて、みんなでトライしている。やるしかない」

 焦りと悲壮な覚悟。2つを同時に感じるやり取りだったが、実際には覚悟が上回った。試合に出られない期間、対戦相手ではなく、自チームの映像を何度も見返して研究するようになったという。「ゴールに直結するプレーを監督は求めています。それをするにはどうすればいいか。自分なりに考えた。珍しくすごい分析しています。そういうところから変わっていこうと」。パッと見て分かるほど、裏を取る動きが増えた。

 「今日の試合では普段出ていない選手が多かったですが、やっぱりそういう人たちが頑張らないとチームは強く、上にいけない。またどんどん監督を良い意味で悩ませるように競争っていうものが生まれないといけない。勝ちましたけど、課題はもちろんあります。リーグもルヴァンも続くので、続けていきたい」。

 20年8月の引退会見で、内田篤人さんは現役生活を漢字一字「土居の土(つち)で」とたとえた。以前から「DFは土。泥臭い(プレー、役割)から」と捉えていたからイメージ通りだったが、なぜ「土居」の名前を加えたのか。会見場に土居の姿を見たからというのも一つ。ただ、こうも思うのである。実績十分の29歳。主将。どの立場でも「土」になれると知っていたからではないか、と。そんなことを感じさせる土居の2ゴールだった。(鹿島担当・内田知宏)

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