【番記者の視点】理想にはまだ届かなくとも…今の神戸に必要な“現実路線”

スポーツ報知
川崎に敗れた神戸・酒井高徳(中)らイレブンは険しい表情を見せた

◆明治安田生命J1リーグ 第11節 神戸 0―1 川崎(18日・ノエビアスタジアム神戸)

 神戸はホームで昨季王者・川崎に0―1で敗れ、今季初の連勝とはならなかった。序盤から徹底した守備で対抗したが、スコアレスドロー目前の後半ロスタイムにコーナーキックから決勝点を許した。

 試合後、元日本代表DF酒井高徳は「きっと見ている側の人は色々と言いたいことはあるんだと思います」と前置きしたうえで、「自分たちのやり方としては我慢してやるところは理解してやっていた。苦しいところ、厳しいところは実際にあるけどチームとしてやることは貫けた」と振り返った。自陣にブロックを形成してカウンター狙いに徹したこの日の戦い方について、用意したプランは遂行できたものの満足できるものではなかった、と感じさせるコメントだった。

 ロティーナ監督が就任して約1か月半。会見で何度も口にしてきたのはボールポゼッションへのこだわりだ。ポゼッション、と聞けばパスサッカーを志向する攻撃的なスタイルというイメージが思い浮かぶかもしれないが、ボール保持には失点のリスクを減らす狙いもある。2018~19年に神戸を指揮し、現在はイングランド・プレミアリーグのマンチェスターCでアシスタントコーチを務めるリージョ氏も神戸時代に「我々にとって1番の守備はボールを持って押し込めることだ」と同様のコメントをしたことは印象に残っている。

 ロティーナ監督にとって、ポゼッションは自分たちがゲームをコントロールするために必要な要素としているが、守勢に回る時間帯が長かった川崎戦はもちろん、今季リーグ初勝利をあげた14日の鳥栖戦においてもボール保持は相手に上回られている。その点で指揮官が求める戦術をまだ体現できてはいないことになるが、試合状況に応じて“現実路線”に切り替えられることができるのも経験豊富な老将だからだろう。ポゼッションができないなら、できないなりの戦い方がロングボールを多用した鳥栖戦であり、昨日の川崎戦だった。

 監督が自らのスタイルにこだわることは重要だが、17位と降格圏に沈む神戸にはチームの熟成を待つ猶予はそれほど残されていない。今のクラブにとって、これが最善のバランスと考えているのかもしれない。「守備面では相手にあまり起点を作らせずにできていた」と指揮官が総括したように、低迷の要因の1つだった守備は整備されつつある。変化の兆しは、確実に見え始めている。(種村 亮)

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