大谷翔平「わざと」肘下げ…リリース位置データに苦闘の跡がくっきり

スポーツ報知
大谷翔平

◆米大リーグ エンゼルス2―4レイズ=延長10回=(11日・アナハイム=エンゼルスタジアム)

 エンゼルス・大谷翔平投手(27)が11日(日本時間12日)、新たな姿で6回2安打1失点の好投を見せた。本拠地・レイズ戦に「3番・投手、DH」でフル出場。得意のスプリットで被弾し、直球の球速も出ない中、リリースポイントを下げて制球を安定させ、カーブを効果的に使って相手打線を翻弄(ほんろう)した。この日の登板を改めてMLBが公開しているデータで分析する。

 MLBの公式データサイト「Baseball Savant」で公開されているデータを元に独自に解析すると、リリースポイントが引き続きこれまでよりも少し下になっていることが記録されていた。

 また本文中に出てくる「変化量」とは野球中継などで見る「ストライクゾーン9分割」の配球図ではない点は留意してほしい。球が重力の影響のみで落ちる変化を基準として、回転することでホップしたり、ドロップする上下の変化、シュートやスライドの左右の変化を表現している。なおデータは全て捕手視点から動きとなっている。

 ◆スプリットの投球数がどんどん減っている

 昨季の決め球だったスプリットの減少傾向が止まらない。昨季は18.1%だったが、11日の登板では7.6%に。球数では7球だけだ。この日、これまでより多く投げたのはカーブ。4回まで63球で3球しか投げなかったが、5回からは29球のうち9球。今季初めてスプリットよりも多くカーブを投じた。

 この日スプリットで奪った空振りは7球のうち1球だけ。またスプリットでソロを浴びた。「投げ続けながら修正したかったんですけど、うちの攻撃が僕も含めてなかなかチャンスを作れなかったので。もう1回、間違いが起きないよう球種を選びながら投げました」と試合後には振り返っていた。

 ◆フォーシームの平均球速は今季“最遅”

 直球の平均球速も154・5キロで前回登板よりも約2キロ遅かった。球速分布を「箱ヒゲ図」で見ると、グラフ内では赤線で示したMLBの今季フォーシーム平均球速(150.8キロ)は上回っているが、今季初登板から徐々に下がりつつあるのが気になる点だ。

 この日の登板後、「球速的にもそんなに調子がいい感じではなかったので、その割には粘れたかなと思います」と本調子でないことを認めていた。

 ◆下がるリリースポイント

 今季の球種と登板日ごとのリリースポイントを見ると、前回登板(5日)を境に大きく下がっている。今回の登板でどうなるか注目だったが、引き続きリリースポイントは下がっていた。この日は20連戦の最終戦。ボストンからの大陸横断の大移動がありながら、中5日でリアル二刀流での出場だった。「体的にももちろんフレッシュな状態ではないですし、踏ん張りどころかなと思いながら投げていましたね」。肘を少し下げて、スリークオーターに近いようなフォームに修正して制球を安定させるなど、試行錯誤した。

 大谷は試合後、スライダーの時に肘が下がっていたが意図的かとの質問に「それはそうですね。わざとやってます」と説明していた。

 ◆MLB平均から大きくずれているスライダー変化量

 最近の登板で大谷が頼っているスライダー。ボールの変化量を見ると、MLB平均から捕手視点で右横に19.09センチ、水平方向では上に10.7センチずれている。平均からずれているということは、打者にとっては見慣れないことを意味する。現在、大谷のスライダーが武器になることが変化量にも出た格好だ。

 たた球速はMLB平均と大きく変わらない。「高速スライダー」ではく、横に大きく動かすことで打者の目を惑わせているようだ。

 全体的に球速が落ち、肘も下がっているのが気がかりだが、苦しみながらの投球で崩れずに工夫を重ねて結果を出すのが大谷のすごいところ。シーズンはまだ5月中旬。徐々に「22年版大谷翔平」の投球スタイルが固まりそうだ。(デジタル編集部・田中孝憲=@CFgmb)

 【データ、および分析方法】昨季と今季各試合の大谷投手の投球データを、MLBの公式データサイト「Baseball Savant」より取得。その上で、昨季と今季各試合のボール変化量の平均を算出し、グラフ上にプロットした。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×