「いのちの電話」事務局長が語る現実…コロナ禍や芸能人訃報で需要高まるも「需要に応えきれていない」

日本いのちの電話の電話相談やボランティア募集を呼びかけるチラシ
日本いのちの電話の電話相談やボランティア募集を呼びかけるチラシ

 長引くコロナ禍がもたらす心身の疲弊、昨今の芸能人の急死報道などにより、その存在意義や需要が高まっているのが、自殺予防などのため全国に設置されている電話相談窓口「いのちの電話」だ。

 行政や報道機関が、繰り返し窓口電話番号をアナウンスしているため、その認知はコロナ以前よりも広がりつつある一方で、実際に窓口となっている事務局や相談員からは「需要に供給が追いついていない」などと活動の存続を憂慮する声が上がっている。

 1989年に千葉県内に設立され、電話で24時間相談を受け付けている社会福祉法人「千葉いのちの電話」の事務局長・斎藤浩一氏(66)がスポーツ報知の取材に応じた。

 斎藤氏によると、コロナ禍や最近の芸能人の訃報により、「悩みを抱える方々からの電話相談の需要は高まっている」と語るものの、「電話を受けて対応する相談員の平均年齢は、約65歳と高齢者が多くを占めています。そのため、相談員の活動を続けたくても外出への不安などから、コロナ以前と比べると相談員の実働数は、数十人単位で減少傾向にあります」と人員不足の現状を明かす。

 「千葉いのちの電話」では、13日現在で203人の相談員が在籍しており、そのうち実働数は178人。斎藤氏は、「この人数では24時間、365日対応を維持することは難しく、需要に応えきれていないと言わざるを得ません。ただ、人の悩みは時間帯を問いません。深夜帯も対応できる体制や、相談員が安心して働ける環境を整えたい」と語る。

 「千葉―」のみならず、全国の相談員のほとんどがボランティアとして活動する一般市民で構成されている。そのため、相談員として活動するまでには、対人援助の基本を身につけるための研修を受けることが必要とされる。

 「千葉―」では、自殺予防だけではなく、病気や障がいなど様々な悩みに対応するために、電話相談の事例を学ぶ講義やグループワーク、体験実習などを約1年半受講し、初めて相談員として認定される。認定後も月1回のペースで継続研修を実施している。

 斎藤氏は、人員減少に歯止めを掛けべく、年に1度のボランティア相談員募集を9日から開始。「会社員としてお仕事をされている方々にも応募いただけるよう、研修などの曜日設定も柔軟に対応しています。窓口番号の周知だけでなく、ボランティア募集をしていることを広く知ってもらうために試行錯誤しながら、若い方の相談員を増やしていければ」と願いを込める。

 報道に携わる一記者としても、悩み相談窓口の電話番号をただ記載するだけでなく、相談対応現場の現実や課題に目を向けていく必要性を実感している。(記者コラム・奥津 友希乃)

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