釣り具探訪 他と競合しない「ツララ」 面白いコンセプトのロッドを制作

スポーツ報知
自らデザインしたグリッサンド72を持つ小川さん

 人気釣り具の開発秘話や今後を探る「釣り具探訪」。今回、焦点を当てるのは釣り具ブランドのツララ。チーフデザイナーを務める小川健太郎さんに話を聞いた。ツララの竿はブラックバス用やライギョ用などがあるが、「2キロぐらいの魚を釣るための竿」「ヨーロッパの水路で使う竿」などコンセプトが決められたものも多い。他のメーカーと競合しない製品をモットーにして釣り人の興味を引くものを世に出し続けている。

◆チーフデザイナー小川健太郎さんに聞く

 小川さんが竿を作り始めるにあたっては、ある一つの思いがあった。「どこのメーカーとも競合しないものを作りたかった。今、出ている竿の邪魔をしたくなかったんです」。そこで見いだしたコンセプトが「旅に持っていける竿」。なので、ツララの多くの竿がティップ(竿先)、バット(胴)部分とグリップが分けられるワン&ハーフになっている。「強さはワンピースより勝ります。感度は下がりますが、それよりも持ち運びの良さを選びました」と小川さんは利点を語った。

 ワン&ハーフの代表作が「グリッサンド72」。ツララブランドの創設初期からあるスピニングモデルだ。「2キロ前後の魚用に作った竿です」と小川さん。とはいえ、強烈な引きにも耐える強さもあることから、この竿で30キロクラスのジャイアントトレバリーを釣る人もいるという。この強さの源は「バランスにある」と小川さんは明かす。グリップ部分が重くなっているので、魚を掛けた時に竿が安定する。「グリップを手首に沿わせて持つことによって竿を立てることができ、竿が持っているパワーを全部使えるんです」

 この竿は、小川さん自身が八重山諸島で2キロのメッキを釣るために作られた。「それまで他社を含めて既存の竿は2ピースかワンピース。2ピースは携帯に便利だが、強さが出にくい。ワンピースは旅には不便。ならば自分で作ってしまおうとなった」と製作に至る経緯を紹介した。

 さらに「グルーヴィ60S」はコンパクトにティップ、バット、グリップ(2ピース&グリップ)と三分割できる。ルアーでアジや黒メバルを狙うウルトラライトゲーム用に見えるが、「これはヨーロッパにいるパーチ(スズキ目ペルカ科の魚)を狙うためのものです。ヨーロッパでの釣りは自転車や鉄道を利用することが多いので2ピース&グリップにして竿の強さと携帯性を両立させました」と小川さん。日本の釣り具メーカーでありながら、意識は世界に向けられている。

 「魚に似合う竿を作りたい」と小川さんはいう。どういう意味だろう。一例として魚とタックルを写真に一緒に収める時。「違和感を感じないように竿は(自然と調和する)アースカラーを使うようにしています。SFチックな色にしてしまうと、自然とマッチしないんです」。竿に入れるロゴの色もアイボリーにするほどのこだわりようだ。

 ツララのホームページを見て驚くのが、竿の長さや適したルアー重量、ラインの太さなど竿のスペック(仕様)が明示されていないことだ。「使うルアーやラインなどは釣り人任せ。旅先で釣りをすると、どうしても竿の性能を超えて使わなければならないことが起きます。その時に釣り人自身が考えて使ってほしいのです。初心者には使いづらいものになっていると思います」。ツララの竿は、使う人を選ぶとも言える。

 竿の製作過程も一般のメーカーとは異なっている。小川さんは「(各釣り部門の)エキスパートが作りたいものを一緒に作ります。作られた竿の利益の一部は、“印税”という形でそのエキスパートに入る仕組みです。しかし、こちらは宣伝をしない。その代わりに自分で宣伝して売ってくださいと。私はデザインするだけですね」という。もちろん売れない竿も出てくる。「それでもいいんです。売れない竿が突然必要になる場面が出てくる。そういう竿がツララにはあるということが宣伝になります」。他社とはまったく違う視点で竿などを作っている。

◆クラッチもギアもないリール「リスぐるま」 

 ツララは面白いリールも作った。風車型の「リスぐるま」だ。といっても、とてもリールには見えない。リールにつきもののクラッチもなければ、ギアやハンドルすらない、とてもシンプルな構造だ。このタイプは「台湾リール」と呼ばれ、古くは台湾から沖縄の石垣地方に伝わり、「ガラマー」という名で使われている。八重山諸島では現在でも餌木を使ってのフグシミ(コブシメ)を釣る時に活躍している。「太いナイロン糸を使って遠投したい時は、大きなスプールが必要になる。その点でこのリールが使われています」と小川さん。

 親指で軸を回しながら糸ふけ(糸のたるみ)を取ったり、糸を巻き取ったりする。「ナマズやブラックバスなどを釣る時に使う人はいますが、最近ではワカサギ釣りで利用する人がいます」という。親指で細かい誘いができるので、「ワカサギを100尾釣るにはこのリールが必要」という人がいるほどだ。

ライフ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×