広瀬すずインタビューロングバージョン

スポーツ報知
インタビューに応じた広瀬すず(カメラ・小林 泰斗)

 女優の広瀬すず(23)がデビュー10周年を迎えた。2012年8月の「ミスセブンティーン」オーディショングランプリから始まって迎えた節目。NHK連続テレビ小説のヒロイン、大みそかの紅白歌合戦の司会を務めるなど、同世代のトップを突っ走っている。何となく始まった芸能生活。今、何を考えているのか。仕事からプライベートまで、23歳の思いの丈を語ってもらった。(浦本 将樹)

 中学2年生だったあの日、運命が変わった。

 「じき、あなたも(オーディション)受けないとね」―。

 先に芸能界入りしていた姉の広瀬アリス(27)が、雑誌「Seventeen」のイベントがあり、家族で上京。その際に所属事務所社長がすずに投げかけた言葉だ。すずは内心「受けないです」とつぶやいていたが「後日、本当に電話がかかってきて、断れませんでした」と振り返る。

 とはいえ、将来のことも考えていなかった。「中学生になったばかりですから。当時はバスケの監督になりたいなあ、と思っていた時期もありましたが、そこまで本気だったかというとそうでもないし」。

 気付くと自分も姉と同じくモデルから女優の道へ。特にアリスからは感想も助言もない。「誰かに聞かれたらするんでしょうけど、私たちだけだとそういう話はしないです」

 デビュー後は新しいことに挑み続けた。映画「海街diary」(15年)ではサッカー少女、「ちはやふる」(16年)では競技かるた、「四月は君の嘘」(16年)では高校生バイオリニスト、「チア☆ダン」(17年)ではチアダンス…。「海街―」ではサッカーを約1年間、猛練習した。華麗なドリブルはもちろん、右利きながらも左足で正確なパスが出せるほどに。「スポーツをやっていたので、体を動かすのは完璧にやりたいなと思っていました」と笑う。

 その中で最も大変だったと明かすのが「四月は君の嘘」でのバイオリン。未経験の楽器演奏に「ウソをつきたくないけど、ウソしかつけない…」と葛藤を重ねた。「時間と経験が足りない。でも吹き替えにはしたくない」との思いで弦を奏でた。「一日6時間近く練習していました。もうキャパオーバーでした」と振り返る。

 それでも、挑戦を重ねる中でやりがいを感じることもできた。「海街―」は日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。カンヌ国際映画祭にも出品された。「今まではただ頑張って、人に『よかった』『悪かった』と言われるだけでした。賞をいただいて分かりやすく評価される。こうやって報われる瞬間があるんだなと知りました」と初めて実感した。

 13日に公開される松坂桃李(33)とのダブル主演映画「流浪の月」(李相日監督)では、女児誘拐事件を巡って、世間の誤解を受け続けながら生きる主人公の家内更紗を演じる。「怒り」以来、2回目の仕事となる李監督が「広瀬すずの代表作を作る」と息巻く作品。広瀬も「前の『怒り』ではオーディションだったのに、今回は呼んで下さった。プレッシャーもちゃんとありつつ、うれしかった」と気合を入れる。同作では、はかない少女を演じるため減量した。「これまでやっていたトレーニングはやめました。筋肉質なので食事制限だけして2キロ落として、シルエットを変えました」。広瀬の体格(身長159センチ)で2キロは決して簡単ではないはずだが、口調はあっさりだ。

 負けん気の源にあるのは小学校時代のバスケ部。猛練習で静岡県の頂点を狙うようなチームだった。校長先生に、朝6時半に登校して練習してもいいように直訴。「夏休みも練習が一日9時間もあって。休みなんてない。小学生なのに」と根性と忍耐力を養った。

 インタビュー中も、いたずらっぽく笑いながらも時々、瞳の奥に見える強い光にドキッとさせられる。デビュー当初に本紙がインタビューした際、屋外で撮影した後でカメラマンが写真を見返すと、足に蚊がたくさん止まっていたことがあった。「振り払おうともせずにずっと笑顔だった」とカメラマンもすずのプロ意識に舌を巻く。

 かつては「ややこしくなるくらい負けず嫌い」と自負していた。ヒロインを務めた19年の朝ドラ「なつぞら」。番組関係者によると、広瀬は電話帳ほどもある台本を現場に持って来ずに、セリフを間違えることなく読み上げた。「今はもう、ややこしくはないです」と謙遜する。もはや「負けず嫌い」を公言することも、自分の中では負けなのかも知れない。

 これまで朝ドラヒロイン、紅白司会と若くして大きな仕事を経験してきた。デビュー10年。女優の仕事をどう感じているのか。

 「前は、すごく華やかな世界に見えていました。それでも今は自分を押し殺して違う人物を演じたり、生き抜く表現をするということが、すごくつらい瞬間もある」。スポーツのように明確な数値やゴールなどはない。「仕事として好きですが、そこに身をささげよう、身を削って表現しようとは簡単に言い切れない」と言葉を選ぶ。

 今後も「こんな役がやりたい」というより「やってみないと分からない」の精神だ。「好きな脚本、ファッション、監督さん、俳優さん。『この人と仕事がしたい』と思う方の作品に出たい」という基準で考える。「これまでは女性がメインに描かれた作品が多かったです。男社会といいますか、男くさい作品にも興味があります」と未知の世界に憧れる。

 CM、映画、ドラマに引っ張りだこの姉妹も20代半ばを迎えている。プライベートについては、かつて別の場で「姉に先に結婚してほしい」と語ったこともあった。「妹として普通に思っているだけです。私は自分のしたい時にします」と真意を語る。何歳までに、という目標の設定はない。「いざとなると、周りからは『まだ早い』『遅い』など言われるでしょうけど、何が正しいかよく分からない。今したいからするという感じ。したい時にするのがある意味幸せだなって」。また瞳の奥が光ったような気がした。

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