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22年新入生特集 3種目高校記録保持者の駒大・佐藤圭汰は世界陸上で初の海外行きに意欲 中大・吉居駿恭は兄との兄弟箱根駅伝制覇に闘志

駒大・佐藤圭汰
駒大・佐藤圭汰
中大・吉居駿恭
中大・吉居駿恭

 今年も世界への道を志す黄金ルーキーたちが入学した。昨年、京都・洛南高で3種目の高校日本記録を塗り替えたスーパールーキー・佐藤圭汰(駒大1年)は、今夏の世界陸上(7月15日開幕・米オレゴン州)で1500メートルの日本代表となって自身初の海外遠征を夢見ている。昨年11月、1万メートルで日本人高校生歴代3位の28分11秒96をマークした吉居駿恭(しゅんすけ、中大1年)は、今年の箱根駅伝で最優秀選手賞「金栗四三杯」に輝いた兄・大和(3年)との兄弟リレーで、歴代最多15度目となる箱根路制覇を目指す。(取材・構成=榎本 友一)

 ◆高校最速ルーキー “10年に1人の大物新人”が紫の常勝軍団に加わった。佐藤は1500メートル(3分37秒18)、3000メートル(7分50秒81)、5000メートル(13分31秒19)と3種目の高校日本記録を引っ提げて駒大に入学した。「箱根駅伝で終わるんじゃなくて、それ以降も世界の舞台で活躍できる選手を育てたい」―。大学駅伝24冠で世界陸上や五輪に多くの選手を送り込んできた名将・大八木弘明監督(63)の勧誘時の熱い言葉に「指導を受けたい」と覚悟を決めた。

 身長184センチ。大きなストライドで、ハイペースで押し切る走りが持ち味だ。大学初の5000メートルだった4日のゴールデンゲームズinのべおかで15位ながら13分22秒91をマーク。いきなりU20日本記録(中大・吉居大和13分25秒87)を更新して見せた。「夏までは1500メートルで世界陸上出場が目標。参加標準記録(3分35秒00)を突破したい」と日本記録(3分35秒42・河村一輝)更新を目指す。

 昨年、高校記録を次々と塗り替えて脚光を浴びた。だが、コロナ禍で多くの国際大会が中止。修学旅行もなくなり「海外には行ったことがない。世界陸上で行けるように頑張ります」と笑う。空き時間は好きな「旅系」のYouTube動画を見てリフレッシュ。「欧州やアフリカのサバンナとか。綺麗な景色が好きで、いつか行ってみたいです」と純朴な18歳は心を躍らせている。

 大学長距離界のエース・田沢廉(4年)の存在も、駒大を選んだ一因だ。高みを追い求める佐藤の視線は既に学生の頂点へと向いている。「練習メニューのタイムとかを見ても、すごくレベルの高いことをされている。田沢さんに勝てれば学生トップというイメージがある。しっかりついていって成長していきたい」。24年パリ五輪に向けては「5000メートルや1万メートルで」と青写真も描いている。

 昨夏、高校の2学年先輩の雄姿に強く背中を押された。東京五輪3000メートル障害で三浦龍司(順大3年)が、8分16秒90で日本勢初の7位入賞を果たした。佐藤はインターハイ期間中だったが、予選、決勝ともにテレビに熱視線を送った。「入賞という結果を残されて本当にすごいと思いましたし、同時に三浦さんが世界で入賞できるなら、自分も絶対に入賞したいなと思いました」。1年間、練習をともにした先輩の快挙に世界一への思いを突き動かされた。

 向上心の塊。強気と謙虚さを併せ持っている。洛南高陸上部の奥村隆太郎監督(35)の言葉を日頃から大事にしている。「上には上が居る」―。「どれだけ良い結果を残しても、広い視点で世界を見てみたら、自分よりも上の選手はいっぱい居るわけで。だから現状に満足しないように」。昨年、高校記録をマークして以降、佐藤は自分の中で何度も言い聞かせてきた言葉だ。

 今秋以降は駅伝での活躍を誓う。「大学3大駅伝でも区間賞、区間新記録を目標にして貢献したい。3冠を狙えるチーム。田沢さんに頼るのではなくて、自分たち下級生がしっかりチームのために良い成績を残すことが優勝するには大事」ときっぱり話す。約6~8キロの距離が5区間ある10月10日の出雲駅伝、12・8キロ以内の距離が6区間ある11月6日の全日本大学駅伝では、新人離れした快走も期待される。20キロ超の箱根駅伝に向けては「5、6区の山以外であればどこでも走ってみたい。箱根で活躍して、応援して下さる方々に恩返しができる走りをすること」と佐藤。田沢との両輪で史上5校目の大学駅伝3冠へと導く。

 ◆大学駅伝3冠 10月の出雲駅伝(6区間45・1キロ)、11月の全日本大学駅伝(8区間106・8キロ)、翌年1月の箱根駅伝(10区間・217・1キロ)の3大会を同一年度で制すこと。1990年度の大東大が実井謙二郎、奈良修らを擁して初めて達成。2000年度には順大が岩水嘉孝、高橋謙介らを軸に成し遂げた。2010年度には大迫傑や矢沢曜らの居た早大が成し遂げている。もし駒大が今年度に3冠を獲得すれば16年度に一色恭志や下田裕太らを擁して、箱根駅伝3連覇と同時達成した青学大以来5校目の偉業となる。

 ◆佐藤 圭汰(さとう・けいた)2004年1月22日、京都市生まれ。18歳。父の勧めで小学4年時に本格的に陸上を始め、蜂ケ岡中で3年時に全国中学大会1500メートルで3位。洛南高に進み、全国高校駅伝は1年次に2区区間賞、2年3区5位、3年3区4位。184センチ、67キロ。4月から駒大経済学部経済学科に入学。家族は両親と兄。

 ◆1万メートル高校歴代3位の新人は兄を追って中大へ 箱根路随一の名門に、復活への切り札となりうる即戦力ルーキーが加わった。吉居駿は4月の日本学生個人選手権1万メートルで大学デビュー。レース前、電光掲示板に映る白字に赤字のCのマークのユニホーム姿の自分を見て「兄を見ている感じがして、テンションが上がりました」。背格好の似た兄・大和と同じく積極的な走りを見せた。ペースの上げ下げの激しいレースで5000M過ぎまでは先頭集団に食らいつき、28分56秒95で8位に入った。見守った中大・藤原正和監督(41)も「この約2か月くらい良い練習ができていたので、28分台はその成果は出せたと思います」と大学初レースにまずまずの評価を与えた。兄と比べて「性格は2人とも同じで素直でまじめ。駿恭の方がよりストイックですね」と、大きな伸びしろに期待を抱く。

 今月4日には入学後初の5000メートルで、13分43秒22と自己記録を約13秒も更新した。今季の目標を「1万メートル27分台と5000メートル13分30秒切り」と定める。「陸上を始めた時から世界で戦いとずっと思っているので。大学の間でも日本代表になりたい」と、兄とともに日の丸を背負っての世界進出も思い描く。

 今年1月。愛知・豊田市の実家のテレビの前で、兄の箱根駅伝1区区間新記録の力走に目を奪われた。5キロ過ぎから独走した圧巻の速さと強さに「自分がしたい、と思っている走りですごく興奮した。競技者として負けて居られない」と闘争心をかき立てられた。「仲の良い」兄を追って今春、中大へ進んだ。「長い距離の方が得意。来年からは日本のトップの方達と世界を見据えて戦えるように。スタートラインに来年立てるように、トレーニングをしていきたい。しっかりけがせずに練習を積んでいきたい」と意気込んでいる。

 仙台育英高1年だった19年12月の全国高校駅伝。吉居駿は7区のアンカーで残り100メートルで倉敷高を逆転して優勝のゴールテープを切った。3区8位だった兄とともに日本一に輝いた。「もちろん、箱根駅伝も兄と優勝したいです。1~3区のどこかを走りたい。決められた区間をしっかりと自分の力を出し切って走りたい。今年度は総合3位以内に入りたい、とチーム内では話しています。兄とタスキリレーもしたいです」。中大は、吉居兄弟を主軸に2024年の第100回大会で、28年ぶり歴代最多15度目の箱根路制覇を大目標として掲げている。

 ◆吉居 駿恭(よしい・しゅんすけ)2003年4月8日、愛知・田原市生まれ。19歳。実業団のトヨタ自動車で活躍した父・誠さんの影響で小学5年で陸上を始める。田原東部中では3年時に全国中学大会1500メートル優勝、3000メートル2位。仙台育英高に進み、全国高校駅伝1年7区9位、2年1区7位、3年1区3位。3年時にインターハイ5000メートルで10位。4月から中大法学部法律学科に入学。168センチ、53キロ。家族は両親と双子の2兄。

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