福岡ドームの観客数8162人に「また超満員の中で」…オカダ・カズチカの見せる観客動員への飽くなき欲求

スポーツ報知
2日のIWGP世界ヘビー級王座V4一夜明け会見で「ワクワクしてもらう試合をしたい」と言い切ったオカダ・カズチカ

 最高峰のベルトを巡る戦いのクオリティーの高さとコロナ禍の中での飽くなき観客動員への欲求。今年50周年を迎えた日本最大、最強のプロレス団体・新日本プロレスを引っ張っていくのは、やはり、この男しかいない―。心底、そう感じさせた会見だった。

 1日、21年ぶりに福岡PayPayドームで行われた「WRESTLING DONTAKU 2022」大会。メインイベントのIWGP世界ヘビー級王座戦で最強の挑戦者・内藤哲也(39)を34分12秒の激闘の末に下し、4度目の防衛を果たしたのが、オカダ・カズチカ(34)だった。

 闘病中の新日の創始者・アントニオ猪木さん(79)に捧げるように延髄蹴り、卍固めの体勢からの変型ドライバーを披露した最強王者は必殺のレインメーカーで内藤を下すと、ドームのど真ん中でマイクを持った。

 「21年ぶりの福岡ドーム大会、また、やりたいですね。ただやるだけじゃなくて。まだ席がたくさん空いているし。超満員になるよう、僕たち新日本プロレスも素晴らしい戦いを皆さんにお届けします」―。

 思わず口をついて出た「席がたくさん空いている」という言葉通り、この日の観客数は8162人。コロナとの闘いの中の入場制限こそあるものの、2001年5月2日の福岡ドーム大会で記録した3万5000人にはるかに及ばない数字。勝利の喜びの直後に“寂しさ”を口にしたのが、いかにもオカダらしかった。

 この男は常に観客数にこだわってきた。

 東京・後楽園ホールでの大会でも自身の出番前にカーテンの陰から観客の表情を、楽しんでいるかを、じっと観察している姿を何度も見てきた。

 今年1月5日の東京ドーム大会で最強外国人・ウィル・オスプレイ(28)を下してIWGP世界ヘビーベルト初防衛を果たした際も東京ドーム史上最低となった6379人の観客を前に「俺はやっぱり声援がある中でプロレスがしたい。もう無観客に戻りたくないですし、しっかりと、みんなの前で闘っていきます」と涙をぬぐいながら叫んだ。

 メキシコでレスラー修業をしていた10代の頃、文房具店の店先にマットを敷いて、数人の観客の前で闘った経験も持つ男は誰よりも観客数に敏感だ。17年8月に単独インタビューした際も「一生懸命、命がけで闘っても地球上で10人しか見てなかったら、たまらないじゃないですか」と真剣そのものの表情で話していたことを覚えている。

 福岡ドーム大会での快勝直後の空席への言及。その言葉に飽くなき観客数へのこだわりを感じたから、2日、東京・白金台の八芳園で行われた一夜明け会見で確認するかのように、オカダに聞いていた。

 「福岡ドームでの観客数8000人ちょっとは、やはりリング上から見ていても寂しかったですか?」―

 この問いかけに、こちらをじっと見たオカダは「客席を見て寂しい部分もありましたし、だからこそ、やっぱり燃えますよね。わあ、入らなかったなじゃなくて、また戻って来たいし、また、超満員の中でやりたいし、それは東京ドームにも言えることなんですけど、それが一つのモチベーションとして、チャンピオンとして戦えているという部分もあると思います」―。きっぱりと答えてくれた。

 さらに「僕たちはリング上の戦いをしっかりやる。お客さんに満足して帰ってもらうのが一番。新日のスタッフの皆さん、頑張ってくれてますんで各会場超満員という一つの目標に向かって一丸となってやっていけたら、またそういう時が来てくれるんじゃないかと思いますし、それに向かって、僕たちもしっかり戦っていかないといけないなと思ってます」と言い切った。

 この日の会見では、観客減の一因になっているのではと言われる繰り返される乱入劇や一部のダーティーな闘いにも言及。1日の試合後に乱入し、自らを失神KOしたバレットクラブ(BC)のジェイ・ホワイト(29)らの行動について、「21年ぶりの福岡ドームだったけど、すいませんと言いたいです。しっかりと勝って終わりじゃなくて変な乱入がありまして」とファンに向けて謝罪。「(乱入して)出て来て『俺が挑戦する』ってのは好きじゃないし、どうなのかな?」と疑問も呈した。

 50周年イヤーだけにビッグイベント目白押しの新日。1月にはプロレスリング・ノアとのトップ選手同士の対抗戦を決行し、横浜アリーナに7077人の観客を集めた。今月14日(日本時間15日)には米国ワシントンDCでPPV(ペイ・パー・ビュー)限定マッチ「Capital Collision」を開催。6月26日(同27日)には、米シカゴのUnited Centerで米トップ団体・AEW(オール・エリート・レスリング)との合同興行「AEW×NJPW‥Forbidden Door」が行われる。

 「AEWとの合同興行も僕が行かなきゃ合同興行の意味もない。そこで新たな新日のファンを見つけたい。日本の中だけでやっていると、世界の人たちに届いていない戦いってのもあると思う。外国選手と戦うからこそ世界に届く戦いもある。また、世界の人に新日の戦いが届いて、海外のファンの人に注目されるような戦いを海外の人に見てもらって、一段と新日が盛り上がると思います」とメインイベンターの自覚たっぷりに言い切ったオカダ。

 一夜明け会見の最後を「内藤さんに勝って、今の新日本プロレスで僕が一番だと思ってますし、最強だと思ってます。知らない人にもオカダ・カズチカを刻みたい。それだけの自信はあります。ワクワクしてもらう試合をしたいと思います」と締めくくった新日にカネの雨を降らせる「レインメーカー」。

 その言葉を聞いた瞬間、私は50周年を迎えた日本最大のプロレス団体を力強く引っ張っていくのは、戦いの内容にも、観客動員にもこだわり続けるこの男しかいないと確信した。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆オカダ・カズチカ 本名・岡田和睦。1987年11月8日、愛知・安城市生まれ。34歳。中学卒業後、陸上の特待生での高校進学を勧められるも闘龍門に入門。04年8月、メキシコでデビュー。07年8月に新日本プロレスに移籍。10年1月、米団体・TNAへの無期限武者修行に出発。11年12月に「レインメーカー」として凱旋帰国。12年2月、棚橋弘至の持つIWGPヘビー級王座に初挑戦。レインメーカーで勝利を飾り、中邑真輔に次ぐ史上2番目の若さとなる24歳3か月で王座に。同王座連続防衛記録12、最長保持記録も持つ。12年、14年、21年にはG1クライマックス優勝。現在、IWGP世界ヘビー級王座を4度防衛中。191センチ、107キロ。妻は声優、歌手の三森すずこ。

格闘技

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×