B3ベルテックス静岡 過去最高3位で全日程終了、躍進の今季を深掘り

スポーツ報知
岡山との最終戦で喜ぶファクンド・ミュラーHC(左端)とベルテックス静岡ベンチ

 バスケットボールB3リーグは1日に全日程を終了し、参入3年目のベルテックス静岡は勝利(対岡山、93〇83)し、35勝10敗の3位だった。目標のB2昇格はならなかったが、順位と勝率(7割7分8厘)は過去最高。「継続と変化」を掲げて臨んだ今季の躍進を、担当の内田拓希記者がテーマごとに深掘りする。

 〈1〉「チーム守備の継続」

 昨季からファクンド・ミュラーHC(48)の合言葉だった「攻撃的なチーム守備」が、完成形に近づいた。激しいマークで相手のボール保持者に自由を許さず、ペイントエリア付近では複数選手でボールを奪いに行く。1試合平均の失点数74・4は、優勝した長崎(74・1)に次いで2番目に少なく、昨季の78・9(リーグ5位)から大きく改善された。

 ムッサ・ダマ主将(25)「守備は去年からの積み上げがあるし、共通理解が深まった」。スタミナ消費が激しい戦術も、ベンチ入り12選手を次々に入れ替えてカバー。アレクシス・エールセネル(34)が「見なくても誰がどこにいるか分かる」という連係の深まりが、堅守の土台となった。

 〈2〉「攻撃の変化」

 新加入した2人の若手が、ベルテの攻撃陣を変えた。昨季は21年2月20日のアイシン戦(84●92)で全体の94%にあたる79点を外国人選手が挙げるなど、「高さ」に頼りがちだった。しかし、今季は岡田雄三(26)と吉田健太郎(26)のW司令塔が「スピード」でけん引。岡田はリーグ3位の4・4アシスト、吉田はベルテの日本人史上1位となる9・9得点(ともに1試合平均)の大活躍で、チーム全体の平均得点も87・0点から89・1点に向上した。

 司令塔の2人を中心にボールが回り、チーム全体のアシスト数が17・6から20・4に増加した。ミュラーHCは「スピードも3Pも決断力も守備力もある。選手としての質が高い」。2人の切り込み隊長が、ベルテの新しい攻撃の形をつくった。

 〈3〉「ミュラーHCの変化」

 就任1年目の昨季は終始、険しい表情でコートに立っていたミュラーHC。今季は練習から冗談を飛ばし、笑いながら選手を褒める場面が目立った。ポーカーフェースだったアルゼンチン人指揮官の“変化”に、選手も「今年は笑顔が多いんですよ」と口をそろえた。

 ミュラーHCに笑顔の理由を尋ねると「今年は選手が良いプレーをしているから。指導者としてこんなにうれしいことはない」。昨季は指揮官との間に壁があると漏らす選手もいたが、「今年はいい雰囲気で練習出来ていて、選手側からの話し合いも増えている」。選手が好プレーを見せて指揮官が笑顔になり、選手発信のコミュニケーションが増える―。コート外に生まれた好循環が、ベルテを「ワンチーム」にした。

 ◇記者が見たベストゲーム 5月1日・岡山戦(93〇83)

思わず、声が出た。46―37で迎えた第2クオーター(Q)残り2分7秒。171センチでチーム最年長の大石慎之介(34)が、30センチ以上身長差のある外国人選手が頭上から出したパスを目いっぱいのジャンプで奪い取り、カウンターの2点シュートを沈めた。「ミスターベルテックス」が、目指してきた「チームディフェンス」を体現したシーンだった。

 シーズン順位は3位で確定して迎えた最終戦。しかも、昨季最終節で連敗し、B2昇格の望みが絶たれた岡山が相手だった。苦戦する条件はそろっていたが、第1Q途中から一度もリードを許さない完勝。昨年の完敗を現地で目にした私にとって、ベルテの成長を実感する一戦となった。

 最終盤の18戦は17勝1敗。昨季は残り7戦の勝負所で3勝4敗だったが、今季はB2昇格プレーオフを控えるA千葉、岡山との上位チーム4連戦を3勝1敗で締めくくった。プレー面だけでなく、最後まで集中を切らさない精神的な成長も示したことは、4年目のシーズンにつながっていく。

 〇…1試合平均のホーム戦来場者は578人と、昨季の499人を上回った。コロナ禍で試合運営に様々な制約がある中、1日の最終戦はチーム史上最高となる1595人のブースターが詰めかけた。試合後にあいさつした松永社長は「まだ何も成し遂げていない。来シーズンこそ必ず昇格します」と涙を流した。

 

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