引退した加藤優さん、“美しすぎる女子野球選手”の肩書に感謝と腹立たしさ…独占インタビュー(上)

スポーツ報知
現役時代とイメージチェンジした姿で野球人生を振り返った加藤優さん(カメラ・軍司 敦史)

 “美しすぎる女子野球選手”として話題となり、昨年現役を引退した元女子プロ野球選手の加藤優さん(26)が、6月に女子小学生を対象とした女性コーチによる野球スクール「Sunny Catchball 女子野球塾」を神奈川県で設立する。女子野球を15年近く最前線で見続け、これからも関わる加藤さんにとって、女子野球はどう見えどこに向かうのか、そして知名度を上げた自身の「肩書」への思いを聞いた。(取材、構成=軍司 敦史)

 4月中旬に変えたというミルクティーベージュ色のショートボブ姿で現れた加藤さん。現役時代も髪を短くすることはあったが、ここまで明るく染めたのは初めてだとか。

 「スクールの営業で出向くのに地味すぎると思ったので、スッキリしようかなと。良いですよ。気分が上がるので大変気に入っています。元々ネクラな性格ですし、最近ずっと真っ黒だったこともあって自分が地味に感じていたんです」

 ―ネクラとは意外です。

 「本当はずっと家にいてゲームをやっていたいくらい。プロでやっていた時はハイになっていたんでしょうね。無理してしんどいことも多かったんだと思います。だから、引き際は良かったのかもしれません」

 2019年秋に起きた大量退団で女子プロ野球リーグを辞めるまで、埼玉アストライアに4年在籍、新人特別賞やベストナインを獲得した。その後はDeNAベイスターズでアカデミーのコーチをしながら20年夏より神奈川のアマチュアクラブチームで助っ人としてプレー。しかし昨年夏の全日本選手権を最後に現役引退した。きっかけは21年女子野球W杯(その後、新型コロナのため中止)のために20年暮れに行われた、侍ジャパン女子代表「マドンナジャパン」のセレクションに落選したことだった。

 「1年のブランクがあったのに選考メンバーに入れていただいて、その中でも良いプレーは出来たのですがダメでした。その時ですね、気持ちが切れてしまったのは」

 代表には4回挑戦したが、途中まで残るものの、一度も選ばれることはなかった。

 「中学のころから目指してきたんですけれど、もう少し自信がつくまでと受験機会を逃した時もあって。20年の時も、前年だったら(プロ退団直後で)自信満々でしたし取ってもらえる確率は高かったと思います。もうちょっとタイミングが合えば良かったという感じですね。縁がありませんでした」

 縁に恵まれなかったという日本代表だが、引退のきっかけが選考会なら、ブレイクするきっかけとなったのも選考会だった。高校3年で受験した14年W杯のための選考会で受けた取材が、ネットニュースで「美人すぎる選手」として取り上げられ、人生が一変した。知名度が上がる一方で、批判も耳にして傷つくことも多かった。

 「当時はめちゃめちゃピュアでしたからね(笑)。かなりヘコむこともありました。今思うと、女子野球を盛り上げるためには必要なことだったかなと思います。いろいろな人の目に触れられて『あいつ見に行こう』という、いわば新規開拓の役割として。でも、私が長く野球をやりたいと思うんであったら、そのフレーズはいらなかったと思います」

 「私は野球しかやってきていないので、たくさん練習して、実力でそこのレベルに行くというプライドがあったんです。間違っても『ビジュアルのおかげでプロでやっています』と思われたくなかった。だから、試合に出続けて結果を残し続けなければいけないと常に思っていましたし、それは結構しんどいことだったので、長く現役を続けることは考えられなかったんです。ずっと背負っていましたね。それが無ければ、おばちゃんになっても野球をやっていたのかなと思うこともあります」

 「今でも私の中に二人の自分がいるんです。一人はあのフレーズに感謝しています。女子野球を盛り上げるためにスポンサーもついて応援していただいたり、正直良い思いもありました。もう一人、無骨な私はあのフレーズに大変腹が立っています。純粋に野球をやって活躍したかったのに、その前に有名になってしまって。注目されなかったら全く違う未来になったでしょう。でも、そこを自分で変えることは出来なかったので、やるしかなかったんです」

 ◆加藤 優(かとう・ゆう)1995年5月15日生まれ、26歳、神奈川県出身。5歳の時に、父が監督をしていた秦野ドリームスで軟式野球を始め、その後硬式野球の二宮大磯リトル、秦野ボーイズ。高校から女子野球のクラブチーム・アサヒトラスト(東京)でプレーし、2016年から女子プロ野球リーグに所属、4年間の間に新人特別賞やベストナインを獲得した。退団後の20年からは、横浜DeNAのスクールで指導する一方で女子クラブチームのGOOD JOB(神奈川)でプレー、昨夏現役を引退した。日本代表「マドンナジャパン」の経験はないが、14年W杯の最終候補選手に残った。身長167センチ、右投げ左打ち、血液型O。

加藤優さんインタビュー<中> 引退の未練は全くなし

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