斉藤立、史上初親子V 亡き父・仁さんの栄冠から34年 決勝14分21秒激闘「絶対負けへん」執念で制す

斉藤立(上)は延長戦の末に影浦心を破り初優勝を果たす(代表撮影)
斉藤立(上)は延長戦の末に影浦心を破り初優勝を果たす(代表撮影)
兄・一郎さん(左)、母・三恵子さんと初優勝を喜ぶ斉藤(代表撮影)
兄・一郎さん(左)、母・三恵子さんと初優勝を喜ぶ斉藤(代表撮影)
疲労困憊(こんぱい)の表情で優勝インタビューに答える斉藤立(代表撮影)
疲労困憊(こんぱい)の表情で優勝インタビューに答える斉藤立(代表撮影)

◆柔道 全日本選手権(29日、日本武道館)

 体重無差別で争われ、斉藤立(たつる、20)=国士舘大=が初優勝を飾った。決勝で、男子100キロ超級の現世界王者・影浦心(26)=日本中央競馬会=に14分21秒の激戦の末、足車で技ありを奪って優勢勝ちした。父で95キロ超級五輪2連覇の故・仁氏(享年54)も1988年大会を制しており、史上初の親子優勝も達成した。

 日本武道館の畳に、新時代のスター誕生を祝う拍手が降り注いだ。影浦との決勝。斉藤は死闘に何度も心が折れそうになったが、敗戦のたびに目にした家族や周囲の悲しむ顔が脳裏に浮かんだ。「俺は絶対に負けへん。何が何でも勝って喜ばせて恩返しする。死んでも勝ってやる」。3年ぶりの有観客。奥襟を持てば沸く会場の空気も味方につけ、相手の担ぎ技を耐え、内股や大外刈りを仕掛け続けた。14分21秒。足車で技ありを奪った。小さく右拳を握り、目を潤ませた。

 95キロ超級で五輪2連覇の故・斉藤仁氏の次男で、ジュニア時代から将来を嘱望された。191センチ、160キロと日本人離れした体格にしなやかさも備え、父直伝の体落としなど多彩な技も持つ。腰や膝のけがが重なり、苦しい時期も長かったが、昨秋に最重量級の再建を掲げる全日本男子の鈴木桂治監督の計らいで、GSパリ大会に練習相手として同行。海外の強豪を目に焼き付け「怪物のように強い選手もいっぱいいた。井の中の蛙(かわず)状態だった」と意識が変わった。

 全日本選手権は父が執念を燃やした舞台だ。2015年1月に亡くなった後、88年大会の悲願の優勝の映像を初めて見た。「執念が表れていた試合。自分もこういう選手にならないといけないと憧れを抱いた」。その背中を追い、7年後に史上初の2世代Vを実現。孝行息子は「父は自分の前ではすごく厳しかった。特に褒められることはなく、握手してから課題を言われると思います」と笑った。

 世界選手権初代表にも決まった。20歳1か月。年少3番目の全日本王者は「五輪も勝ててないので並べるレベルじゃない。これからお父さんのような柔道を目指して、五輪で優勝する。パリにしっかりピークを持っていく」と誓った。病床の父から亡くなる直前、最後にかけられた言葉は「稽古に行け」だった。花開いた大器は今後も教えを胸に刻み、24年パリ五輪へ突き進む。(林 直史)

 ◆斉藤 立(さいとう・たつる)2002年3月8日、大阪市生まれ。20歳。5歳で柔道を始め、小6で全国少年大会優勝。大阪・上宮中3年時にも全国制覇。18年のロシア・ジュニア国際で国際大会初出場優勝。19年全日本選手権に史上最年少17歳1か月で出場。21年GSバクー大会優勝。父・仁さんは1984年ロス、88年ソウル両五輪で95キロ超級連覇。191センチ、160キロ。

斉藤立(上)は延長戦の末に影浦心を破り初優勝を果たす(代表撮影)
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