4月9~10日に開催された自転車ロードレースのチャレンジサイクルロードレース(報知新聞社主催)の男子エリートの部を制したフランス人選手のトマ・ルバ(36)=KINAN Racing Team=がオンラインによるインタビューに応じ、チャレンジサイクル初出場Vを振り返り、本格化するロードレースシーズンへの意気込みを語った。(協力・日本自転車競技連盟、KINAN Racing Team)
―チャレンジサイクルロードレースの優勝を振り返って
「69キロと距離の短いレースなのでスタートしてすぐエンジンがかかった。コースはアップダウンがあり、テクニカルな良いコース。スプリント勝負では勝てないので単独スパートが成功した。天候も体調も完璧で、集中力も維持できて結果を出せました」
―今季への準備は?
「昨年は11月に2週間程、フランスに帰ったが12月からは日本に戻り、トレーニングを再開した。チーム合宿も3回おこない、実戦を想定した練習もこなすことができました」
―今後はツアー・オブ・ジャパン(5月19~22日、東京・大井埠頭ほか)、ツール・ド・熊野(5月27~29日、和歌山・熊野市ほか)とビッグレースが続く
「両方のレースでチームから個人総合優勝を出したい。すべてのレースに勝ちたいが、地元開催の熊野は一番大事なレースでありプレッシャーもかかります。チームメートの山本元喜、M・ガルシアは優勝を狙える。他のチームの戦略によって戦い方は変わるが、自分も第1ステージで失敗せずに総合優勝を目指します」
―日本人選手、日本のレースの印象は?
「10年前と比べると選手のレベルは上がっている。当時は強いなと思える選手が数人しかいなかったが、今は20人くらいいる。松田祥位、石上優大など数年後が楽しみな選手もいる。日本のレースの運営はクオリティーが高く海外のチームも出場したがりますね」
―さらなる日本のレース発展のアイデアは?
「日本の選手は大学からプロに入る流れだがレベルの違いが大きい。フランスなど、欧州は学生とプロの間にアマチュアのカテゴリーがあって、フィジカル、技術、戦術面など徐々にレベルアップできる。成長曲線を描けるような同様のシステムがあれば良いと思います」
―日本での生活は3年目になりますが慣れましたか?
「19年は日本とフランスを往復していたので、徐々に適応できました。日本は静かで安全で清潔ですね」
―自転車競技を始めたきっかけは?
「母が大学のスポーツ学の教授だったので、スポーツは身近でした。祖父が好きだったロードレースを、テレビで小さい頃からよく見ていました。14歳までやっていたバスケットボールの方が才能はあったのですが、自転車の方が好きでした。(出身地のピレネー山脈の麓であるフランスの)ポーで登りをよくやっていたのでクライマーになりましたね」
―日本のファンへ
「10年間応援し続けてもらい、ファミリーのようで感謝しています。有観客のレースも増えてきので会えるのを楽しみにしています。メルシーボークー」
◆トマ・ルバ(Thomas Lebas)1985年12月14日、フランス・ポー生まれ、36歳。12年にブリヂストンアンカー(現チームブリヂストンサイクリング)に加入。17年にKINAN Racing Teamに移籍。20年から日本を拠点に活動。13年ツール・ド・北海道個人総合でプロ初優勝。21年ツアー・オブ・ジャパン個人総合2位。フランス語、英語など4か国語を操るマルチリンガル。脚質はクライマー。182センチ、65キロ。